日本相撲協会は28日、大相撲秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。

現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。

【通算出場】

現役で歴代トップ10入りの力士はいないが、歴代10位の安芸乃島の1575回に迫るのが「鉄人」玉鷲だ。現在、現役トップの1538回で安芸乃島までは、あと37回。通算連続出場もかかっており、このまま出場し続ければ来年1月の初場所7日目にトップ10入りを果たす。

【通算勝利数】

現役最後の場所となった21年7月の名古屋場所で全勝優勝した横綱白鵬(現宮城野親方)が「1187勝」という歴代トップの大記録を打ち立てて引退した。歴代2位の元大関魁皇(現浅香山親方)の1047勝、同3位の元横綱千代の富士(先代九重親方)の1045勝までが「1000勝超え」を挙げ、大相撲史に偉大な足跡を残している。

現役1位は玉鷲(38=片男波)の781勝。歴代10位で860勝の元関脇寺尾(現錣山親方)までは、あと79勝で「鉄人」がどこまで迫れるか注目だ。

ちなみに、22年1月の初場所限りで引退した当時、現役2位だった序二段の51歳力士・華吹(立浪)は、通算勝利数が683。単純比較は出来ないが、元横綱朝青龍の669勝を14勝、上回る立派な記録を残した。

現役2位は高安(32=田子ノ浦)の693勝。3位は佐田の海(36=境川)の667勝で続く。

【幕内在位場所数】

歴代1位は元大関魁皇の107場所。白鵬は歴代単独2位の103場所で現役にピリオドを打った。それでも白鵬の、新入幕からの幕内連続在位は、史上初の100場所を超える大記録となっている(103場所まで更新)。現役1位は玉鷲の83場所で、歴代10位の若の里(現西岩親方)が87場所だから、来年3月の春場所まで在位すれば歴代10傑入りを果たす。十分に射程圏内だ。

【幕内出場回数】

白鵬が歴代8位の1282回で引退。あと1日だけでも土俵を務めていれば、歴代7位の元関脇安芸乃島(現高田川親方)の1283回に並んでいた。現役1位は玉鷲の1242回。歴代10位の豪風まであと15回で、この秋場所を皆勤すれば歴代トップ10入りを果たす。現役2位は宝富士(36=伊勢ケ浜)の1035回。なお歴代1位は、元関脇旭天鵬(現大島親方)の1470回。

【幕内勝利数】

白鵬が1093勝で、2位の魁皇に214勝もの差をつけ歴代トップに立っている。歴代10傑には千代の富士、北の湖、大鵬、貴乃花ら優勝回数20回以上を誇る、そうそうたる横綱が名を連ねている。

現役1位は玉鷲の598勝、2位は高安の533勝で、現役500勝超えはここまで。3位の碧山(499勝)は、区切りの500勝に王手をかけて今場所に臨む。

【通算連続出場】

初土俵以来、無休の「鉄人記録」。歴代3位に1538回の玉鷲が入っている。04年春場所の序ノ口デビューから足かけ20年の「皆勤賞」だ。昨年7月の名古屋場所はコロナ禍で13日目から休場したが、不可抗力のため連続出場記録は途絶えずに継続されていた。歴代2位の富士桜(1543回)までは、あと5回。今場所5日目に歴代2位タイに、6日目には歴代単独2位に浮上する。その先の歴代1位は、元関脇青葉城の1630回。あと92回で7場所を要する。

【幕内連続出場】

現役の宝富士が945回で歴代7位タイに名を連ねる。10年以上も連続して幕内で出場という立派な記録だ。今場所初日に出場すれば歴代単独で7位タイとなる。その上の6位貴闘力までは30回と2場所で到達する。また、現役2位の玉鷲も現在897回で歴代9位に名を連ねる。

【三賞受賞】

昨年九州場所で殊勲賞を受賞した高安(32=田子ノ浦)が12回受賞となり、栃東(元大関)、安美錦と並び歴代10位に名を連ねた。もう1回受賞して13回になれば歴代7位タイ(武双山、土佐ノ海、琴光喜)、さらにもう1回上乗せして14回になれば同4位タイ(鶴ケ嶺、朝潮、貴闘力)まで上がる。

現役で高安に続くのが、御嶽海の10回、3位は照ノ富士の9回。なお歴代1位は安芸乃島(元関脇)の19回。後述の金星獲得でも歴代トップで、大物キラーぶりがうかがえる。なお歴代2位は1差の18回で琴錦(元関脇)となっている。

【金星獲得】

昨年の名古屋場所で逸ノ城が、横綱照ノ富士を破り通算9個目の金星を獲得。三根山、玉乃海ら5人が名を連ねていた史上10位の仲間入りを果たしたが、既に引退している。

現役で金星獲得1位は、7個で遠藤(32=追手風)と北勝富士(31=八角)が並んでいたが、ここに昨年だけで4個を量産した玉鷲(38=片男波)が割って入り7個で並んだ。歴代10傑(9個)入りに3人は、あと2個の金星が必要だが、横綱が照ノ富士一人しかいないため、今場所で達成はできない。

今場所、歴代10傑入りに“王手”をかけるチャンスがあるとすれば、東前頭筆頭の北勝富士と、西前頭3枚目の玉鷲。ともに上位総当たりの番付のため、照ノ富士を破れば通算8個となり、あと1つと迫れる。西前頭10枚目の遠藤は後半戦まで優勝争いに参戦するほどの星の上乗せがあれば、横綱戦のチャンスが巡ってくるかもしれない。ちなみに金星獲得歴代1位は安芸乃島の16個で、2位で並ぶ高見山と栃乃洋に4個の差をつけている。