大相撲で所要1場所で新十両、同3場所で新入幕とスピード出世の最速記録を持つ「令和の怪物」こと、東前頭9枚目の伯桜鵬(20=宮城野)が28日、東京・両国国技館で行われた、相撲教習所の卒業式に出席した。原則として新弟子が半年間通う相撲教習所を、幕内力士として臨む出世の速さだが「卒業できてうれしい」と、初々しさをのぞかせて話した。

先月末に左肩の手術を受け、今月行われた秋場所は「左肩関節脱臼術後で復帰まで3カ月以上かかる見込み」との診断書を提出し、全休した。十両陥落が確実な次の九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)も全休の見込みで、来年1月の初場所は幕下陥落が予想される。それでも伯桜鵬は「手術の選択が遅れたけど、手術できたのは1つ成長したなと思う。今は毎日、できることをやっていて、復帰はいつになるか分からない。でも完璧に治すことを優先するので、番付はどこまで落ちても構わない」と、力強く話した。

新入幕で千秋楽まで優勝を争った7月の名古屋場所中には、実は「朝起きたら(左)肩が外れていたことがあった」という。しかも「名古屋場所中に3回ぐらい。中学1年からの古傷」と明かした。それでも出場を続けたのは「注目されていたところから、いなくなるのが嫌だった」と、一気に番付を上げ、名古屋場所が伯桜鵬に改名後、最初の場所でもあったため、すぐに忘れられることが怖かったという。

それでも今は「こんなことでクヨクヨしていられない。来年、再来年を見ている。苦しいというより、今はすごく楽しい」と、胸を張って前向きに話した。現在は細かな筋肉を含め、左肩の筋力回復に努めながら、まずは相撲の稽古を再開することを目指している。