大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山(30=高砂)が、連勝で6勝5敗とし、今場所初めて白星を先行させた。今場所で初金星を挙げている東前頭3枚目の王鵬を破った。立ち合いで右を差せなかったが、左からのおっつけで相手を横向きにした。そのまま前に出て最後は寄り切り。王鵬には、十両だった昨年春場所の初顔合わせこそ敗れたが、その後は3連勝とした。

今場所は初日に大関貴景勝に敗れて以降、勝ったり負けたりが続き、星を五分に戻すことはあっても、白星先行には至らない展開続き。ようやく白星先行となり、3年ぶりの三役返り咲きの可能性が出てくる勝ち越しに前進した。取組後は「相手の右肘に、ちゃんとあてがいながら崩して攻められた」と、左からのおっつけの良さを勝因に挙げた。

前日10日目は、実力者の明生に辛勝した。寄って、寄られての大相撲を、最後は上手投げで制した。中盤戦を終えて5勝5敗。10日間を振り返り「自分の形になっても負けたり、攻め急いで負けたりという相撲が何番かあった。そこを直さない限り、上は目指せない」と、白星にも安定感を欠いた内容を反省していた。

12日目はこの日の王鵬と同じく、今場所で金星を挙げている西前頭3枚目の隆の勝との対戦が組まれた。三役以上で対戦を残しているのは、関脇若元春と小結阿炎の2人だけ。自身よりも下の番付の相手に、取りこぼさなければ勝ち越しは見えてくる。ただ毎場所、掲げている目標は2桁白星。「残りが大事。全部勝つ気持ちでいきたい。(2桁白星の可能性は)なくはない。まだチャンスはある」。見据えているのは残り4番全勝だ。

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