日本相撲協会は30日、名古屋市のIGアリーナで秋場所(9月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、西ノ龍(24=境川)ら新十両4人、再十両1人の昇進を発表した。西ノ龍は愛知・扶桑町の部屋宿舎で会見した。今月27日まで行われた名古屋場所は、東幕下5枚目で5勝2敗。昇進できるかどうかは極めて微妙な情勢だっただけに、開口一番「まだ実感が湧かない。(昇進の期待は)少しはあったけど『また来場所頑張って上がろう』と思っていた」と話し、予想外の吉報を喜んだ。

大阪市でちゃんこ店「西乃龍」を営む父の下村重和さんは、元前頭常の山で、改名前は西乃龍や西の龍を名乗った。親子関取は史上14組目。西ノ龍は「父が十両になったのが25歳の時。それよりも早く上がりたいと思っていたので、自分は来月に25歳だけど、間に合ってよかった」と、笑顔を見せた。さらに「父の番付を超えたい」と、最高位が東前頭12枚目だった父超えを目標に掲げた。

実は、プロレス団体ノアを立ち上げた、故三沢光晴さんの“忘れ形見”を託されている。三沢さんと富士ケ根親方(元小結大善)と、父重和さんが親しい間柄。三沢さんは生前、ノアの団体名が入った化粧まわしを、当時の富士ケ根親方に寄贈していた。その際、化粧まわしについては「(重和さんの)息子さんが将来、関取になった時に譲ってあげて」と、富士ケ根親方に伝えていた。“遺言”通り、化粧まわしは、西ノ龍の実家にあるといい、再び脚光を浴びる日を待っているという。

恐れ多い思いもあるのか「まだ、その化粧まわしを着けるかは分かりませんが、まだ小さい時に、三沢さんと会った記憶はあります。自分、野球は全く分からないですけど、プロレスは好きです。もちろんノアのファンです」という。西ノ龍が相撲を始めたのは中学2年の途中から。まだ、力士になるどころか、相撲を始めるかどうかすら未定だった西ノ龍の土俵での活躍を、三沢さんは期待していた。リングで数々の名勝負を繰り広げた三沢の思いを背負い「持ち味は気持ち。気合っす!」という、大阪市出身、激しい取り口が持ち味の新十両が、秋場所を盛り上げることになりそうだ。【高田文太】