1975年(昭50)5月5日に誕生した日本ポニーベースボール協会(広澤克実理事長)は今年50周年を迎えた。Protect(守る)・Our(我々の)・Nation’s(国の)・Youth(青少年)。「我々の国家の宝である青少年の成長を守ろう」を理念に、多くの指導者が野球少年を見守ってきた。今回は埼北ポニーウィンズクラブ監督の三浦文雄氏(70)に「PONYの思い出」を語ってもらった。

【失敗してもチャンス与え育てる】

埼北ポニーウィンズは鴻巣市、熊谷市、行田市など「埼玉北部」の野球少年が集まる。リトルシニア、ボーイズリーグでの活動を経てポニーリーグに加盟したのは03年。当時から指揮を執る三浦氏に思い出の試合をたずねると、じっくり考えた。アジアパシフィックゾーンチャンピオンシップで代表を率いるなど、経験豊富な監督が挙げたのは、昨年7月の全日本選手権3回戦。意外にも宇都宮ポニーに敗れた試合だった。

接戦を通じて、イニングごと、1球ごとに成長していく選手の姿を目の当たりにした。「僕はめったに言わないんですけど、自然に『よくやったな。がんばったな』って言いました。選手がいきいきと声をだして、それまでにないほどベンチが盛り上がっていった。普通2回もひっくり返せば勝つんですけど(苦笑)、結果じゃない。満足した試合でした」。

試合で選手を育てる。ポニーの理念を実現するためのルールに交代した選手が再出場できる「リエントリー制」がある。「リエントリーはありがたい。失敗した選手を交代させても、もう1度チャンスを与えられる。その試合で決着できるんですから」。

「できるだけ早く、その日のうちに」は指導の原則にもしている。例えばチーム内でいじめをみつけたら、すぐにいじめられた選手と、いじめた選手にも事情を聴く。「どちらにも何らか心当たりがあるんです。謝罪もすぐにさせます。それを週末のうちに終わらせる。平日に分かったら、次の週末までひきずってしまいますから」。

長い監督生活で感じるのは何よりも野球が大好きな「野球小僧」が少なくなったこと。「正確には昔に比べると、野球小僧の熱が低くなっているのかな。でも、野球小僧と盛り上げ役がいるチームは強いんですよ」。結果よりも選手の成長を何よりの喜びとする。そんな「永遠の野球小僧」は、失敗してもリエントリーからはい上がる、たくましい球児の育成に情熱を注ぎ続ける。