この4月から、SKE48担当になった。その関係もあって6月16日、ナゴヤドームで行われたAKB48世界選抜総選挙を初めて取材した。

 ご存じの通り、結果は松井珠理奈(21)須田亜香里(26)のワン・ツー・フィニッシュとなった。SKE48の地元開催ということで、結果的には面目躍如だったが、残念ながら第1党を奪い返すことはできず、完全勝利とはならなかった。この完全勝利に並々ならぬ意欲を燃やしていたのが、大場美奈(26)だった。

 SKE48にとって、今年は10周年でもある。だからこそ、完全勝利にこだわったのだ。総選挙前に別件でインタビューした際、「10周年だからこそ、名古屋でやる総選挙でSKE48が第1党にならなければいけないし、選抜に多くのメンバーが入らなきゃいけないんです」と力説していた。

 「この名古屋での総選挙でSKE48が完全勝利をしないと、何か1つでも欠けていたら多分、それをきっかけに落ちていくかもしれないので、完全勝利をしないと怖いという思いはあります」と話したのだ。だが、SKE48の躍進こそあれ、完全勝利は、残念ながらかなわなかった。

 そんな大場自身は、過去最高の8位に入った。9回目にして、初めての選抜入りだった。総選挙前にインタビューをしていたということもあって注目をしていたが、選抜発表に入る前から、胸の前で手を組み、目を閉じて祈るようにしていた姿が印象的だった。

 スピーチでは「私は王道のアイドルではなく、失敗もしてきました。でも、努力をすれば夢はかなう。それが48グループです。そんな姿を後輩たちに見せていきたいです」と話した。2位に入った須田も「今ステージの端っこにいる子も、握手会の列が短い子も、ブスでも、運営に推されなくても、頑張れば夢をつかめる」と同様のスピーチをしたが、これが今のSKE48を象徴しているように感じた。先輩たちが自らの経験を示すことで、後輩を導いているように感じた。

 同インタビューの際、「今までは指原さんの発言がニュースになっていたけど、指原さんが出ないことでそれがなくなって、世間に総選挙が広まっていないという感覚がある」とも話していた。「私たちの発信力の未熟さに気付かされた。先輩たちが抜けた穴の大きさをグループ全体で感じたので、私はSKE48だけど、48グループの一員として、そこをしっかり意識すべきだった」と反省の弁を述べた。

 挫折や失敗を知る者ほど、強くなれる。大場のスピーチを、そんな思いで聞いた。