第53回ブルーリボン賞が25日、東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)から発表された。新人賞には「人間失格」「ハナミズキ」などに出演した俳優生田斗真(26)が、現役のジャニーズ事務所所属タレントとして初選出された。また「最後の忠臣蔵」「書道ガールズ!!」に出演した女優桜庭ななみ(18)も同賞を受賞した。授賞式は2月15日、東京・銀座ブロッサム(中央会館)で行われる。

 96年の芸能界デビューから15年、ずっと夢見てきた映画の世界で、生田が栄冠を勝ち取った。「とってもうれしいです。僕はずっと映画に興味があって、いつか自分もあの大きなスクリーンでお芝居をしたいなと思ってきて、ようやく『人間失格』でかなった」と言い、笑みを浮かべた。

 映画初出演&主演作となった「人間失格」は、09年7月3日にクランクインした。右も左も分からない中、東映京都撮影所で映画のプロたちからカメラ、照明の仕組み、映画の歴史を学び、映画にかける志に胸打たれた。荒戸源次郎監督から「とにかく芝居だけしてればいい」と言われ、カメラの前で演じるだけの生活をする中で表現者としての原点…。芝居の勉強を始めた高校時代に立ち返った。

 ジャニーズ事務所所属だが、CDデビューはしていない。一方で同世代の嵐の松本潤、二宮和也、相葉雅紀、NEWSの山下智久は、CDデビューしてアイドルへの道を駆け上っていた。「落ちこぼれじゃないけど、そういう感覚。CDデビューして同年代は頑張っていますけど、僕はそういうグループに入れなかった。何か自分の生きる道や好きなことを見つけなきゃいけなくて」。そう思っていた高校卒業間近に芝居に出会い、「俳優として地位を確立している人は、あまり会社にいない。目指していこう」と誓ったという。

 光GENJIから俳優に転じた佐藤アツヒロや、元男闘呼組の岡本健一ら先輩に相談を持ちかけると「斗真、行っちゃえ」と背中を押され前に進めた。

 受賞を荒戸監督に報告すると「一番いいヤツをもらったな!!」と褒められた。ただ大きな勲章を得ても、信念はぶれない。「自分が一番その役を理解し、愛してあげること。いつ、どんな役でも対応できるいい素材でありたい」。自信と喜びで、瞳は輝いていた。

 新人賞の桜庭は「こういう賞をいただけるとは全然考えていなかった」と感激した。地元鹿児島の家族には、決定後すぐに電話とメールで報告して祝福された。中学を卒業後にデビュー。今春に高校を卒業した後は、女優業を軸に芸能活動に専念する。「女優は自分との闘い。役作りでどこまで追い込めるか…頑張れる場所」と決意は固い。ただ「大人の女性になれますか?」と聞かれると、「なれるかな?

 不安が大きい。大人の女性って何だろう?

 なれるよう頑張ります」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。【村上幸将】