昨年末の全米公開以来、世界的ヒットとなっている「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」のヒロイン、英女優のカレン・ギラン(30)が4月の日本公開に合わせて初来日し、インタビューする機会があった。

 「-ジャングル」は、主人公がボード・ゲームの世界に迷い込む異色作「ジュマンジ」の22年ぶりの続編。前作のボード・ゲームはテレビ・ゲームに進化し、スケールアップしたバーチャル世界で物語は進行する。ギランが演じたのはタフでセクシーなゲームキャラの美女戦士で、素のままの美貌を披露している。

 「今回は思いっきり自分を解放できた気がします。楽しい場面がたくさんあって、ダンスをしながら屈強な2人の男を徹底的にやっつける、なんてシーンもありました。残酷なやり方なんですが、ま、ゲームの中ですから。今、思い出しても笑っちゃいます」

 4年前の米映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」には、体の大半を機械に改造された「殺人兵器」ネビュラ役で登場。続編「-リミックス」(昨年)でこのネビュラの登場場面が増えたのと並行するように存在感を増してきた。この時の分厚い特殊メークがあったから、今回の「解放感」も大きいのだろう。

 「特殊メークはお肌にあんまりいい感じがしないし、撮影前に何時間も掛かります。でも、その時間で役に入り込めていける実感もありました。特殊メークが終わった頃には『最強の悪役』になりきっている。確かに利点もあったんですよ」と振り返る。

 「素」のままの難しさも実感した。

 「現実世界ではちょっと奥手の高校生が、ゲームの世界で自分とは正反対キャラを手に入れるという設定です。その二重性格を演じ分けるところが、この役の一番のポイントでしたね。私自身、奥手の方だと思いますけど、ちょっと弾けたいという気持ちもあって、自分なりに二面性を自覚している。その両方の気分を劇中場面に当てはめながら演じ分けたつもりです。『切れ代わり』のシーンはジャングルの中で長時間汗だくで撮ったので記憶に焼き付いているんですけど、ちゃんとそういう風に見えました?」

 新作「-ジャングル」には、「ガーディアンズ」シリーズに増してアクションシーンが多かった。ヘソ出しの衣装からのぞく腹の六頭筋も印象的だ。

 「大作は時間をかけて撮影するので、まず体力、持久力を付けることが必要で、そのためには毎日のトレーニングが必須でした。そしてアクションは激しくなればなるほど、絶対に相手に当てない技術が必要になります。まだまだマーシャルアーツの訓練が必要ですね」

 メジャー作品でのステップアップと並行して、1人で監督、脚本、主演した「The Party,s Just Begining」も完成させた。

 「故郷のスコットランドを舞台にしたとてもダークな物語です。主人公には自傷癖があり、友人は自殺している。これまでの出演作とは逆のヘビーな題材ですが、実はこういうのをやりたかったんです。スコットランド北方の統計数字がヒントになっています。実は自殺率が飛び抜けて高くて…。何で? という疑問からリサーチを重ねて脚本を書き上げました」

 女優を志したのは13歳の時。くしくもオリジナル版の「ジュマンジ」を見たのがきっかけだった。

 「主演のロビン・ウィリアムズ(享年63)の大ファンだったんです。だから、今回の作品には運命的なものを感じています。どんな役でも完璧にこなすロビンは今でも憧れの人です」

 緑灰色の瞳を見慣れないせいもあるのだろうが、縦横ほぼ1対2の楕円(だえん)形の目は不思議なほどウィリアムズに重なって見える。

 「ホントですか! 初めて言われました。何か、とってもうれしいんですけど」と笑い崩れた。

 「目標はロビンのような俳優はもちろんですけど、『シャイニング』のジャック・ニコルソンのような、振り切れた役にも憧れます」

 4月には再びネビュラ役でマーベル作品「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」への出演もある。典型的な娯楽作品で実績を重ねながら、自らの監督作品では対極のダークな題材をチョイス。ギャップの大きさが今後を期待させる。

 ネット上のニュースを検索する限りではゴシップの類は見あたらない。

 「そういう意味では、すごく退屈な女かもしれませんね。いろんな意味で頑張りたいと思います(笑い)」【相原斎】