和久井健氏の原作コミック「東京卍リベンジャーズ」は、ヤンキー高校生がタイムリープを繰り返しながら成長していくユニークなストーリーだ。ピリッとしない主人公だが、恋人や友人への思いは純粋で、彼らの悲惨な未来を変えるため、暴走族や反グレ集団の抗争に命懸けで身を投じていく。
7月9日公開の「東京リベンジャーズ」(英勉監督)は、原作に描かれた個性的な登場人物に一線で活躍中の人気俳優を配し、彼らがこぞって楽しそうにキャラを立てている。メリハリの効いた群像劇は、あの「仁義なき戦い」シリーズ(73年~)のギラギラしたはじけっぷりを思い出させる。
フリーターとして鬱々(うつうつ)と暮らすタケミチ(北村匠海)は、テレビのニュースで元恋人ヒナタ(今田美桜)が死んだことを知る。翌日、自らもホームから転落し、さえない人生にも終止符と諦めた直後、何と負け犬人生の出発点となった10年前の高校生として目を覚ます。
「最悪の過去」にあがきながら、タケミチはヒナタを救う唯一の方法が、10年後にヤクザも恐れる危険な組織に成長する「東京卍會」を消滅させることだと知る。不可能とも思える人生のリベンジが始まる。
ナイーブな表情やしぐさは主演・北村の得意分野と言えるだろうが、今作ではこれに加えて「死に物狂いの様子」が新鮮だ。思いっきり目をむき、感情表現の振り幅はこれまでで最大値かもしれない。
最強コンビのマイキーとドラケンは吉沢亮と山田裕貴。吉沢のそらさない目の迫力。NHK大河の若き日の渋沢栄一同様に「大物オーラ」がにじんで見える。どこか抜けた役の多い山田が、ここでは懐の深い闘士になりきって、ぶれない姿勢にリアリティーがある。比較するのも何であるが、ピカ一の好演ではないだろうか。
キヨマサ役の鈴木伸之も徹底的に嫌なヤツを演じ、キャラの競い合いの中でも、一番のワル役を際立てている。
そして眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗、間宮祥太朗…。誰もが原作愛にあふれ、はまっている。
コロナ禍の中断を経ての撮了というが、集中力は途切れなかったようだ。密度の濃い、見どころの多い快作に仕上がっている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




