思いっきりタフで、ちょっとだらしないが、最後は運に恵まれる。ガイ・リッチー監督が描く主人公には独特の魅力がある。トップ俳優が好んで出演したがる理由がそこにあると思う。
監督デビュー作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(98年)以来、5度目の顔合わせとなるジェイソン・ステイサム主演の「オペーレーション・フォーチュン」(10月13日公開)は、リッチー節満載のスパイアクションだ。
ウクライナの研究施設が武装集団の攻撃を受け、世界危機をもたらす正体不明の物質「ハンドル」が強奪される。その回収のため、英秘密情報部MI6はえりすぐりのメンバーを召集する。経費の使い方には問題があるが腕はピカ一のフォーチュン(ステイサム)、天才ハッカーのサラ(オーブリー・プラザ)、フォーチュンを尊敬する狙撃の名手JJ(バグジー・マローン)だ。
カギを握る億万長者の武器商人グレッグ(ヒュー・グラント)に接近するため、彼が大ファンというハリウッドスターのダニー(ジョシュ・ハートネット)を脅して協力させるなど、フォーチュンの作戦は大胆で費用もかさむが、しだいに核心に迫っていく。一方で、MI6がひそかに徴用したBチームの暗躍も始まって…。
ステイサムを始め、キレのいいアクションが見どころの1つであるのは確かだが、ポーカーフェースでやり合う人間力比べの駆け引きの方が面白い。
ソフトな表の顔の裏側に欲望をたぎらせる武器商人、さっそうとした半面、人一倍気弱な映画スター。グラント、ハートネットという新旧二枚目が喜々として役になりきっている。
一方で、コメディエンヌ出身のプラザはほどよくセクシーで、ヒップホップ・アーティストのマローンの人を食った感じも何ともいい。リッチー監督のキャスティング・センスに改めて感心させられる。
重要な舞台となるグレッグのヴィラは、営業中のトルコのホテルを一時的に改修したものだという。内装、家具、装飾品のために250人の専門家を集めたそうで、豪華絢爛(けんらん)な雰囲気が作品のクオリティーを高めている。ビンテージカーを惜しげもなくカーチェイスに使用するシーンもある。
リッチー演出は、一見すると無駄遣いだが結果的には功を奏する劇中のフォーチュンの行動に重なって見える。
スパイアクションにコメディー要素がほどよく混じり、ひたすら楽しい快作だ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




