舞台となるのは米軍の撤退から5年、タリバン暫定政権下のアフガニスタンだ。国連UNHCR協会によれば、国民の約半数にあたる2290万人が人道支援を必要とする状況で、タリバンと対立するIS(イスラム国)の動きも活発だ。
「ダーティ・エンジェルス」(4月10日公開)はそんな実情を背景に、ISに誘拐された少女たちを救うため、現地に送り込まれた女性ばかりの傭兵(ようへい)部隊を主人公にストーリーを組み立てている。
メガホンは007シリーズや「マーベラス」など、アクション映画を得意とするマーティン・キャンベル監督。「007/カジノ・ロワイヤル」(06年)以来の顔合わせとなるエヴァ・グリーンが血まみれ、ほこりまみれでタフな兵士を演じている。
アフガニスタンに本拠を置くISの武装勢力が隣国パキスタンの学校を襲撃し、元アフガン政府関係者や米大使館の子女を誘拐する。非公式の救出作戦に乗り出したCIAは、かつてIS指導者のアミールに捕らえられ、九死に一生の脱出を果たした女性兵士ジェイク(グリーン)に白羽の矢を立てる。
ジェイクの指揮下に集められたのは、狙撃や爆破のスキルに優れながら問題児ばかり、女性ばかりの傭兵部隊だった。国際医療支援団体を装った彼女たちは、イスラム原理主義の「男社会」の隙を突いてアフガン国境を越えるが…。
かつては敵だったタリバン関係者の協力を得たり、敵の敵は味方の図式も浮き彫りになる。キャンベル監督にとっては複雑な国際情勢も貴重な「エンタメ要素」のようだ。IS指導者のアミールが劇画チックなまでの悪役キャラに描かれる一方で、ジェイクの部隊や関係者は相当数が犠牲になり、危険なミッションにリアリティーを感じさせる。
エヴァ・グリーンは重火器の扱いや兵士らしい振る舞いをしっかりものにし、「歴戦」の雰囲気を漂わせている。アルマーニ、ディオールなどモデルとしての活動歴も相当なものだが、パリ生まれにもかかわらず劇中ではまるで米軍人のような話しぶり。その柔軟さに驚かされる。【相原斎】




