「ライブなんかやってていいのかよ!」
そんな自虐的コメントが何度も飛び出した。
プロダンス「D.LEAGUE25-26SEASON」は10月に始まったばかり。12月18日にはROUND.3が待っているというのに! とはいえ、単独ライブ「ROUNDS LIVE」はシーズン前から決まっていた。場所はアイドルの聖地・秋葉原のライブハウス。万世橋交差点を渡って、「パームス秋葉原」に向かった。大型カラオケ店パセラのビルといえば、わかりやすいか。
いやあ、おもしろかった!
MAKOにどこまで笑わせてもらえるかを期待していたけど、なんだかみんなフレンドリー。
主役はRYOGA! 自ら前日が23歳の誕生日だったことを明かし「23歳のうちに必ずおもしろい人になる」と宣言するや、1発ギャグが空回ってだだ滑り。「今日が23歳2日目。あと363日のうちにおもしろくなります」ってコメントはやや受けた。
笑いは健気で荒削りなRYOGAだったが新メンバーMAiKAとのダンスバトルは圧巻で、得意の低空エアーを繰り出して互角の勝負。
このバトル、本人は知らない「NGムーブ」が設定されていて、NGを多発した方が負けという珍ルールだった。
RYOGAには「ひざをつく」、MAiKAには「頭にさわる」のNGが設定された。NGをおかすたびに、客席から歓声と爆笑が。
本人たちはその反応から、自分のNGを探りながら、バトルは続くのだが、NGに対する爆笑を、技が決まった歓声だと勘違いしたら、悪夢の始まりだ。
RYOGAはフロアすれすれで、ひざをつかない技を多様するようになった。NGに気づいたのか? 高度なテクニックにひざがつきそうでつかないハラハラドキドキが加わって、場内はどよめき続けた。
さて、答え合わせだ。
RYOGAは「ひじをつく!」
ええっ、分かってなかったのか? ひじだと思って、あえて、フロアすれすれを踊るうちに、自然とひざがつかなかったのか! 「じ」と「ざ」の差の間違いってのも面白い!
ところでMAiKAの答えは「低い位置!」って、それはムーブじゃないだろう!!
ダンスも答えも雰囲気も、楽しく笑えるし、なんともいえない一体感。
リーグ戦の会場の20分の1以下、観客200人の限定スペースということもあるが、ダンスをこれほど、自然に声を出し、笑って、手をたたきながら見る機会は、今までなかった気がする。
ダンスが楽しい。
貴重な体験だった。
この日のライブは新シーズンで踊った2作品や前シーズンの作品を披露。ダンサーがぶつかりそうな狭いスペースでどんどん加速するスピード感、フロアのきしむ音など大会場や配信動画とは違う、臨場感をたっぷり味わえた。
さらに、コンテンツをつなぐメンバーのトーク。新加入以来、チームのパフォーマンスの幅を広げるなど、クールで切れ者の印象があるKEINが、案外かわいいしゃべり方をするのは、ほほえましくなった。
バトルを含めた演目も、あらためて仕上げる必要のない範囲のメニューだったから、ラウンドの作品づくりへの負担は極力避けられているのかもしれない。
何より「リハーサルからいつもこんな感じなんです」と説明上手なNAOKIが明かす、チームの和気あいあい感が十分に感じられた。
Valuence INFINITIESが一気に身近になった。
新シーズンのD.LEAGUEはよりオーディンスの採点の比重が高くなった。ファンとの距離をつめるのは重要で、今まで以上に、SNSに動画やメッセージを配信するチームが現れるなど、対策が練られている。
シーズン中の異例のライブは、その究極形なのかもしれないが、彼らはもっとスケールが大きな夢を描いているらしい。
「ホームタウン:日本プロジェクト」。
47都道府県を舞台に、チームを、D.LEAGUEを、ダンスをもっと身近に感じてもらおうと、積極的に各地を飛び回るという。
ライブが終わろうとしていた。
メンバーが個々にあいさつするうちに、MAKOが姿を消していた。
何かがある? と思ったら、ケーキを持って現れた。
なるほど、ここでRYOGAが前日誕生日だったことを明かして、みんなで祝福するサプライズのはずだったのが、すでに自ら事実を明かしていたから、サプライズ感が薄かった。
微妙な空気を読んだのか、RYOGAは自らケーキに顔を突っ込んで挽回を試みた。あと、363日でRYOGAは面白く生まれ変われるのか? ホームタウン日本プロジェクトとともに、スケールの違う2つめのプロジェクトが始まった。
次回は12月24日、再びパームズ秋葉原で。
不朽のダンスソング「ロンドン橋」に続く「万世橋交差点を渡ろう」がキーワードだ。
(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「Dリーガーのオドリバ」)





