11月、日本屈指のアジア系料理店激戦区、東京・大久保駅のすぐ前(新宿区)にできていたド派手な「回転火鍋」という看板が気になっていたのだが、少し前、さっそく初入店してきた(※先日、本紙レジャー面グルメ連載ページでも記事化)。

JR大久保駅前にできた「回転火鍋」のド派手看板…これは入らざるを得ない
JR大久保駅前にできた「回転火鍋」のド派手看板…これは入らざるを得ない

そこは、11月19日にオープンした「辣辛子(らーしんず)回転火鍋」という店。内モンゴルの羊肉鍋料理など、その起源には諸説あり、日本の「しゃぶしゃぶ」の源流ともいわれる「火鍋」が「回転する」…とはどういうことなのか? 

座席数約60という広い店内に入る。すぐ目に入ってきたのは、ベルトコンベヤーがあり、その上のレーンを、鍋用のさまざまな具材が乗った皿やおわんがいくつも、ぐるぐる回っている光景。つまり「回転」とは、構造的には「回転ずし」のように、火鍋の具材がレーンの上を回っている店…という意味だったのだ。

広い店内に入るとレーン上にいろいろな具材が回っていた…「回転ずし」愛好者として興奮する光景だ
広い店内に入るとレーン上にいろいろな具材が回っていた…「回転ずし」愛好者として興奮する光景だ

「回転火鍋」は中国では、寒い東北地方などを中心に近年人気というが、日本ではまだ珍しい。食事をする流れがつかめずまごついていると、中国人男性店員がすぐ来て、店の利用方法を教えてくれた。

まず、具材をゆでるためのスープを「重慶風マーラー味」「トマト風」「日本風みそ味」「カレー風」など6種類から選ぶのだが、初めてである今回は、白湯の中にシイタケ、ネギ、小エビなどが入った「おすすめスープ」にしてみた。

次は“特製タレ”を作る。「中華風甘みそ」「海鮮風辛みそ」「ゴマ油」「ラー油」「ゴマみそ」「コリアンダー」「ニンニク」「ニラ」など確か10種類以上の材料が並び、それらを自由にまぜ、自分だけのタレを作成するのだ。

最初に、多数の材料を自由にまぜ「特製タレ」を作るのだがこれがなかなか楽しい
最初に、多数の材料を自由にまぜ「特製タレ」を作るのだがこれがなかなか楽しい

店員が推奨にほぼ従い、「ゴマみそ」「豆腐の塩漬け」「中華風甘みそ」「パクチー」「ゴマ油」などをまぜて、タレができた。すでにこのあたりでヨダレがあふれそうになる。

着席後、回転ずし店のような構造の各席に1つずつ備わったIHクッキングヒーターに、さっき注文した「おすすめスープ」が入った鍋を乗せ、沸騰を待つ。ちなみに、肉はレーン上を回転しないため、「牛肉」「ラム肉」「豚肉」などを別皿で注文するシステムだ。

タレ(右下)ができ、別皿の牛肉&ラム肉がきたら、あとはスープが煮立つのを待つだけ
タレ(右下)ができ、別皿の牛肉&ラム肉がきたら、あとはスープが煮立つのを待つだけ

まずは、運ばれてきた牛肉とラム肉を鍋に次々投入。色が変わってゆで上がったところでしゃぶしゃぶのようにタレにつけ、たいらげる。この特製タレ、ゴマや各種みそのコクとパクチーなどの香ばしさがマッチし、肉の柔らかさとあいまって、かなり美味だ。次はいよいよ回転具材をピックアップ。

ゆでた肉をつまむ…特製タレが想定以上に美味で永久に食べ続けられる勢い
ゆでた肉をつまむ…特製タレが想定以上に美味で永久に食べ続けられる勢い

レーンから自由に皿やおわんをとる作業は、回転ずしと同様。筆者は回転ずし好きで、「スシロー」「はま寿司」「無添くら寿司」「元気寿司」「魚べい」「かっぱ寿司」「若貴」「平禄寿司」「スーパー回転寿司やまと」などを各地で頻繁に利用しているため、回転形式は体になじんでいる。

そんなことはさておき、まずは野菜系具材から。もやし、春菊あたりの皿をとり、煮立ったスープに入れる。男性店員が「おいしいですよ」とすすめてきた魚肉団子や、中に魚卵が詰まったすり身の団子の串もレーンからつまんでとった。

魚肉団子の串もプリプリしていていい感じ…いろいろな具材があって1人でもあきない
魚肉団子の串もプリプリしていていい感じ…いろいろな具材があって1人でもあきない

ぐつぐつゆであがったところで食べると、魚肉団子は歯ごたえと弾力があり、なかなか。刺身のようなメニュー名「魚片」も鍋に入れ、煮上がったところで春菊などと一緒に食べたが、やわらかくてイケる。

豆腐系の具材も充実しており、このほか小さな風船のように丸く軽い中国風の揚げ豆腐「油豆腐」や、平べったい「干し豆腐」なども味わった。ほかにもいろいろ鍋に投入しまくり食べ尽くした後、最後は、これも皿の上に乗ってきたラーメンを鍋でゆで、満腹に。

具材は魚系、豆腐系、野菜系、めん系など計40種類くらいか(1皿もしくは1串税別100円。肉は1皿同680円など各種料金体系がある)。具材が次々回転してくるだけに、次は何をとろうか…と常にいろいろ考えているため雑念が湧くヒマもなく、飽きない。

最近、夜開催される飲み会やパーティー、宴会、多人数の会食などに出席する意欲が加速度的に減少していることは何度か記したが、そうした背景もあって「牛丼系店」「立ち食いそば」「オリジン弁当」など“1人だけでの食事”が相対的に増えている中、もともと中華料理系のメニューが大好物なだけに「1人火鍋」はなかなか楽しかった。

ちなみに、同店には回転具材以外にも単品で注文する本場の中華料理があり、店員に人気メニューを聞いてみたら、即座に「ザリガニ(小龍蝦)料理」との答えが返ってきた。「い、いや…今日はおなかがいっぱいで」と逃げ腰で“回避”してしまったが、次回はザリガニもいかなければもう、記者廃業である。

ちなみに、この「辣辛子」には豪華カラオケ個室もある。一瞬、文化社会部の後輩でも誘って近いうちに利用しようかと思ったが、その勧誘に応じる人が確実にゼロと思われるだけに、結局こちらも「1人カラオケ」になりそうだ。

【文化社会部・Hデスク】