宇宙ステーション内での地球外生命体との戦いを描いた。宇宙飛行士6人は、火星の土壌から目に見えないほどの生命体を発見。生命体は栄養と刺激を与えられ、目覚めさせられ、驚異的なスピードで大きくなっていく。

 はたから見てそれやっちゃだめ、そこ行っちゃだめ、という行動を宇宙飛行士たちが次々に取っていく。SFホラーとうたっているように、ホラーの定石が打たれるのを見るのは、怖さ半分、安心感半分。分かっていながらキャーキャー言えるお化け屋敷だ。

 最初はクリオネのような生命体が、巨大イカ、タコのようになっていく。火星の生物は、やっぱりタコ足か! と、新鮮さはなかったが、動きと成長のスピード感はおもしろかった。

 ラストは半ひねりくらいながらもオチをしっかりつけ、全体的に安定感のあるホラーとなった。適度に怖くて、1時間44分の程よい長さ。地球外生命体を地球に入れまいとする戦いを、ヒアリ上陸、定着阻止に置き換えてみると、深い話に感じる…かもしれない。

 飛行士6人のうち、真田広之がいい。落ち着いていて、チームの要になっている。【小林千穂】

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