新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、再び花見シーズンを迎えました。昨年3月、東大阪市は市が管理する公園などでの飲食を伴う花見を「禁止」し、市内の公園には「禁止」と記した貼り紙を取り付け、市職員らが巡回しました。全国でも賛否を呼んだ「禁止」ですが、今年はどうなっているのでしょうか? 訪れてみました。

大阪府東大阪市の花園ラグビー場に隣接する花園中央公園。ソメイヨシノなどのお花見スポットとしても有名です。28日午前10時、同公園の桜はほぼ満開です。小雨のため、歩く人はまばらでしたが、同公園の各所には花見の注意事項が記された貼り紙がありました。

「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、飲食を伴うお花見はお控え下さい。引き続き、多数の方が密集するような利用は避けていただきますようご協力をお願いいたします 東大阪市」

昨年3月、同公園内の貼り紙は「新型コロナウイルス感染拡大防止のため、シートを敷く、携帯椅子などを利用しての宴会など、飲食を伴うお花見は禁止します 東大阪市」でした。

今年は強い表現の「禁止」の言葉がなくなり、「お控え下さい」となっていました。東大阪市の担当者はこう説明します。

「昨春は手探りの状態でした。市民のみなさんへの呼び掛けとしてどのような表現が適切なのかと…。今年のお花見のシーズンに大阪府内に緊急事態宣言が出ていれば、表現が変わったかもしれませんが、今回は『お控え下さい』が妥当だろうとなりました」

そもそも飲食を伴うお花見の「禁止」は、条例に基づくものではなく、強制力はありませんでした。罰則はなく、あくまでも「お願い」して、協力を求める形でした。

もう1つ、今年「お控え」を選んだ理由として大阪府の「お花見のお願い」がベースになっています。

大阪府は「公園でお花見される皆様へのお願い」として「今シーズンの花見はシートを敷いての花見、飲食を伴う花見をお控えいただきますようお願いします」と呼び掛けています。

大阪府の吉村洋文知事(45)も26日、府の新型コロナウイルスの対策本部会議後、「お花見のシーズンの真っ最中です。通り過ぎながら花見というのは日本人の文化として桜を愛でるということもされると思いますが、シートを敷いて花見をする、飲食をして宴会のような花見をするということはぜひ自粛をお願いします」と呼び掛けています。

ほぼ毎日、犬の散歩で花園中央公園を訪れるという60代の男性は「今年はシートを敷いて花見をする人はほとんど見かけない。昨年は“禁止”の貼り紙があっても、けっこう“宴会花見”をしている人はいたけど、今年はなんとなく“宴会花見”をやりにくい雰囲気があるんじゃないかな」と話します。

コロナ禍で迎えた2度目のお花見シーズン。「禁止」から「お控え下さい」。自治体側にも「苦悩」があるようです。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

今春の花見シーズン、東大阪市の花園中央公園の桜の木には「飲食を伴う花見はお控え下さい」の貼り紙(撮影・松浦隆司)
今春の花見シーズン、東大阪市の花園中央公園の桜の木には「飲食を伴う花見はお控え下さい」の貼り紙(撮影・松浦隆司)