年末年始は、乃木坂46、欅坂46、日向坂46の「坂道」3グループが大活躍しました。特に、12月30日のTBS系「輝く!日本レコード大賞」と大みそかの「NHK紅白歌合戦」には、2日連続でそろい踏み。担当記者が見た坂道の「多様性」とは。

19年12月、日本レコード大賞で熱唱する齋藤飛鳥(手前左)、白石麻衣(同右)ら乃木坂46メンバー
19年12月、日本レコード大賞で熱唱する齋藤飛鳥(手前左)、白石麻衣(同右)ら乃木坂46メンバー

そもそも、レコ大と紅白に同じシリーズのアイドルグループが3つも同時に出演すること自体が、超異例だ。「全部同じに見える」という意見がないわけではないだろう。ただ、現場の観客や視聴者の中には「こんなにもそれぞれ特色が違うのか」と感じた方もいるのではないだろうか。

レコ大では3グループの楽曲が優秀作品賞を受賞。トップバッターは日向坂46「ドレミソラシド」。センター小坂菜緒(17)中心に笑顔はじけるかわいらしいフォーメーションダンスを披露。ド直球のアイドルらしさあふれるパフォーマンスで、見る者を癒やした。続いて登場した欅坂46の「黒い羊」は、センター平手友梨奈(18)はじめ、個性的な振り付けのコンテンポラリーダンスで独自の世界観があふれた。歌唱後、新国立劇場の客席が一部ざわめくほどだった。一転、前年大賞受賞者の乃木坂46「Sing Out!」は、齋藤飛鳥(21)センターのしなやかなダンスで魅了し、観客も手拍子。洗練されたパフォーマンスで、一体感に包まれた。

19年12月、日本レコード大賞で熱唱する平手友梨奈(中央)ら欅坂46メンバー
19年12月、日本レコード大賞で熱唱する平手友梨奈(中央)ら欅坂46メンバー

もともと「AKB48の公式ライバル」として生まれた乃木坂46には、当初から「AKB48とは違うことをしていこう」という指針があった。乃木坂46の妹分的存在として誕生した欅坂46にも、「乃木坂46とはまた違う独自の世界観を追求しよう」という意識があった。欅坂46の2軍的存在「けやき坂46(ひらがなけやき)」として結成した日向坂46も「欅坂46にはない自分たちだけの武器を作ろう」と努力を重ねた。

19年12月、紅白歌合戦で「キュン」を熱唱する日向坂46
19年12月、紅白歌合戦で「キュン」を熱唱する日向坂46

各グループの固い意思が、昨年末のそろい踏みにつながったのだと思う。それは、お互いが高め合う理想の関係だ。乃木坂46キャプテン秋元真夏(26)は「3グループとも毛色が全く違う。戦友のような感覚」と話す。それぞれの「坂道」にアイデンティティーとプライドがある。【横山慧】

(1月7日付紙面に掲載したものです)