乃木坂46岩本蓮加(18)が、今年4月公開の初主演映画「世の中にたえて桜のなかりせば」(三宅伸行監督)の思い出をあらためて振り返った。

同作のDVDが発売中。約70歳差のダブル主演となり、今年3月に87歳で亡くなった宝田明さんからもらった温かい言葉は、今でも確かに息づき、背中を押す力となっている。

主演映画のDVDを手に笑顔を見せる岩本蓮加(撮影・鈴木正人)
主演映画のDVDを手に笑顔を見せる岩本蓮加(撮影・鈴木正人)

映画の撮影は昨春だった。「初めての映画で、演技経験もほとんどなくて。全部が新鮮で、すごく緊張していたことは覚えています。今この頃を見ると、ちょっと幼いですね」と懐かしんだ。「すごくきれいな作品なので、DVDで何度も見てほしいです」とアピールした。

異例のダブル主演となった宝田さんは公開直前に肺炎で急逝し、結果的に遺作となった。「宝田さんの最後の作品にご一緒できたことは、私の人生の誇りでもあるし、本当に自信というか、大きな影響があります」と表現。亡くなる4日前の完成披露舞台あいさつで「あなたは大女優になれる」などと絶賛されたことが、心の支えになっている。

3月10日、ドラマ「世の中にたえて桜のなかりせば」舞台あいさつで、MCの質問が聞き取りにくかった宝田明さん(右)に優しく伝える岩本蓮加
3月10日、ドラマ「世の中にたえて桜のなかりせば」舞台あいさつで、MCの質問が聞き取りにくかった宝田明さん(右)に優しく伝える岩本蓮加

「演技のお仕事をするたびにきっと思い出す言葉だと思います。(今年4月期のドラマ)『吉祥寺ルーザーズ』でも、映画とまた違う雰囲気で、自信がなくなったりする場面が多々あったんですけど、そのたびに思い返していました。あんな大きなことを言われて大丈夫かな、と正直心配ですけど、期待に応えられるように頑張りたいです」

小学校低学年の時から、芸能界に漠然と興味はあったという。「同世代の子役の方々がすごくアツかったんです。芦田愛菜ちゃん、本田望結ちゃん、鈴木梨央ちゃんとか…」と振り返った。母親から「受けてみる?」と言われ、16年9月に3期生として乃木坂46に加入。「当時12歳だったですし、女優とか、そういう具体的な目標は正直なかったです」と述懐した。

主演映画の思い出を語った岩本蓮加(撮影・鈴木正人)
主演映画の思い出を語った岩本蓮加(撮影・鈴木正人)

9月4日に加入6周年を迎えた。1、2期生の多くが卒業した乃木坂46では、「次世代」から「現世代」となった一角だ。「最初は大変でしたけど、今は先輩たちが3期生を頼りにしてくれているのがひしひし伝わります。頑張ってきたのが認められている気がしてうれしいです」と喜んだ。

昨年12月頃から体調不良で活動を制限した時期もあった。今年5月に横浜・日産スタジアムで行われたデビュー10周年ライブでは涙する場面も。「日産は無事に乗り越えられるか不安でしたが、やっぱり開放的で気持ちいいとか、きれいな景色だなって思う瞬間がたくさんあって。楽しんでライブができていると確信できたので、よかったです」とほほ笑んだ。最近は趣味のゲームやアニメ関連の仕事も増え、活動も充実しているという。

主演映画の思い出を語った岩本蓮加(撮影・鈴木正人)
主演映画の思い出を語った岩本蓮加(撮影・鈴木正人)

「グループも変化しているし、3期生が一番先輩になる日がいつかは訪れると思うんです。そうなった時でも安心して見ていられるグループでいたいと思います。メンバーは変わるけど、やっぱり乃木坂の仲良しで温かい雰囲気や空気感は絶対になくしたくない。そして個人的には演技面でも、グループ外のお仕事にいつ出ても恥ずかしくないくらい、1人の女優として立派になりたいです」

名優の言葉を胸に、今はただ前を向いている。【取材・構成=横山慧】

◆岩本蓮加(いわもと・れんか)2004年(平16)2月2日、東京都生まれ。16年9月加入の3期生。愛称「れんたん」「れんか」。159センチ。血液型B。