月組トップ月城かなとが、知的でツンデレな“若き日の菅原道真”にふんした「『応天の門』-若き日の菅原道真の事-」と「Deep Sea-海神たちのカルナバル-」の月組公演。兵庫・宝塚大劇場公演を終え、東京宝塚劇場での開幕を今月25日に控える。4月30日まで。

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「月城歌舞伎」。芝居「応天の門」脚本・演出の田渕大輔氏は、トップ月城の特長をこう表現した。

歌舞伎といっても、大げさな芝居というわけではない。田渕氏は、大きな瞳の動き、目ヂカラで「心の動きが伝わる」と説明。「芝居の圧がかかった状態で、感情をのせていける。動いている姿そのものが美しい」と、卓越した月城の芝居ごころをたたえた。

「応天-」は、月刊コミックバンチで連載中の灰原薬氏による「応天の門」が原作。舞台は平安初期。その月城ふんする道真と、平安の色男・在原業平が協力し、「平安の最強バディ」を組み、怪事件を解決する様を描く物語だ。

業平役は、劇団きっての芝居巧者で主力スターの鳳月杏が好演し、月城と強力タッグ。2人に協力する女商店主・昭姫にはトップ娘役の海乃美月がふんし、きっぷのいい“あねご”キャラを熱演。下級生時代から高い演技力を発揮してきた人気スター風間柚乃も、政権中枢にある藤原良房の養嗣子で、影のある藤原基経役に入り、要所で締める。

ショーは、海底神殿に集う「海神」たちのカーニバルを描くラテン調。「秘密の花園」場面では、月城を相手に鳳月が女役に挑戦。2人の妖艶なからみに、風間が歌を添える。

月城率いる月組は、昨年正月の新コンビ本拠お披露目から1年余り。表現力豊かなスターが個性を存分に発揮し、23年のスタートを切った。【村上久美子】

◆おことわり 公演日程については変更の可能性があります。最新情報は、宝塚歌劇団の公式ホームページなどでご確認ください。