雪組トップ彩風咲奈が、2人目相手娘役に夢白あやを迎えた新コンビ。雪組新体制で、本拠地お披露目となった「Lilac(ライラック)の夢路」「ジュエル・ド・パリ!!」は、5月28日に兵庫・宝塚大劇場公演を無事に終えた。東京宝塚劇場は6月17日に開幕(7月16日まで)を控える。

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彩風&夢白。新コンビでの本拠お披露目に、宝塚大劇場公演では、初舞台生の出演が重なった。彩風は「無条件に、春というのはワクワクしてくる時期ですね」と言い、さらに心弾む再スタートとなった。

芝居は謝珠栄氏が作・演出・振り付けを担当。イギリス産業革命の影響を受けた19世紀初頭のドイツを舞台に、鉄道産業の発展を目指すドロイゼン家の長男ハインドリヒが夢を追う姿を描く。

彩風は、きょうだいとともに目標に向かって一直線に進むハインドリヒを熱演。革新的な兄とは対照的に保守的な次弟フランツは、朝美絢がふんし、兄の勝算を心配しつつ、不満を募らせる心の機微を繊細に表現する。軍人でもある三弟ゲオルグは、芸達者な和希そらが好演を見せる。

新トップ娘役の夢白は、彩風ふんするハインドリヒの夢を後押しする音楽家志望のエリーゼを情熱的に演じ、鉄道事業成功への鍵を握る鉄職人アントンをハインドリヒに紹介する。その鉄職人アントンには、縣千がふんしている。

芝居演出の謝氏は「(彩風、夢白、朝美…)みな個性が違う。夢白の踊りも含めて、ひじょうに楽しみです」と、今の雪組を見る。

ショーは、藤井大介氏が演出。幕開けから、宝塚大劇場の象徴でもある大階段が登場。彩風は意外な形で登場し、すぐさま黒えんびに早替わりして、得意のダンスへと展開。人気スター和希そらが女役を披露する場面もある。

藤井氏は、彩風と夢白の新コンビを「とてもフレッシュ」と言う。スタイル抜群の彩風には「等身の良さがダンスに生きていて、とても華やか」とたたえた。

謝氏も「宝塚らしい、きれいなトップコンビだと思う」と語り、新生雪組への期待はふくらむ。【村上久美子】