堀北真希(26)主演で、夫婦で特攻機に乗った実話が、テレビ朝日系「戦後70年ドラマスペシャル 妻と飛んだ特攻兵」(8月放送)で初めて映像化される。夫役は成宮寛貴(32)で、このほど2人が、ロケ先の岐阜県羽島市で取材に応じた。

 ノンフィクション作家・豊田正義氏の「妻と飛んだ特攻兵 8・19満州、最後の特攻」が原作。関東軍少尉谷藤徹夫さんと妻朝子さんが、第2次世界大戦終戦の日から4日後の満州で、侵攻するソ連軍から家族や日本人を守るために特攻機に乗り込んだ事実がつづられている。ドラマでは山内節夫・房子夫妻と名前を変え、原作同様になぜ終戦後に特攻を行ったのか、妻が乗った理由などを描く。

 房子役の堀北は、初めて台本を読んだ時を「フィクションだと思い、すぐに理解できるものではなかった」と振り返った。しかし、2人の資料を丹念に読み「好きな人と一緒にいたいという、シンプルだけど絶対的で強い思いがあった。おふたりの人柄やエピソードを知り、こういう愛を育んだご夫婦がいたんだと感じられるようになりました」と解釈した。写真館で結婚写真を撮影するシーンでは、実際の夫妻の写真を見ながら、気持ちを高めた。

 逆プロポーズしたり、単身で満州に渡るなど、強い意志と行動力の持ち主の房子。堀北は気持ちを重ね、作品に入り込んでもいる。「(満州にいる夫からの)はがきにあった『すぐに来てほしい』というひと言。私もそれを見て『行こう』と思いました」。

 節夫役の成宮は、7年ぶりの丸刈りで臨む。「家族を守るための特攻。2人の愛を通して戦争を知ってほしい」。言葉遣いや演技など、若い世代にも伝わりやすいよう意識的に変えて取り組んでいる。【小林千穂】

 ◆「妻と飛んだ特攻兵」 1944年(昭19)、山内節夫(成宮)は房子(堀北)と結婚するが、直後に任地の満州へ出発する。45年6月、節夫に呼び寄せられた房子は満州にわたり、やっと新婚生活を始めることができた。やがて終戦が伝えられたが、迫るソ連軍に、関東軍、日本人開拓団は追い詰められていく。ほかに八嶋智人、荒川良々、杉本哲太、羽田美智子、高島礼子、国村隼らが出演。