映画での軽妙な演技で人気を呼び、テレビのワイドショーの司会で親しまれた俳優の川崎敬三（かわさき・けいぞう）さん（本名陶山恵司＝すやま・やすじ）が７月２１日に川崎市内の病院で死去していたことが２４日、分かった。８２歳だった。川崎市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻節子（せつこ）さん。

　関係者によると、死去を公表しないことが川崎さんの遺志だったという。最近になって親しい関係者に喪中はがきが届き、亡くなったことが明らかになった。

　１９５４年（昭２９）に大映に入社し映画デビュー。若尾文子（８２）と共演した「新婚七つの楽しみ」などで軽い持ち味を発揮。その後テレビにも進出し、江利チエミさん主演のＴＢＳ系ドラマ「サザエさん」のマスオさん役で三枚目としても人気を得た。歌番組司会にも挑戦し、複数のレギュラー番組を持った。

　７４年からテレビ朝日系ワイドショー「アフタヌーンショー」の司会を担当。番組内での山本耕一リポーターとのやりとりを、漫才コンビのザ・ぼんちがまねした「そぉなんですよ、川崎さん」のフレーズが流行語になった。ザ・ぼんちは８０万枚を売り上げたシングル「恋のぼんちシート」でもこのフレーズを披露した。

　番組は、同局ディレクターが未成年に暴行を指示した「やらせリンチ事件」で８５年に打ち切られ、８７年からの新番組「新アフタヌーンショー」でも司会を務めた。９０年代以降は芸能活動から遠ざかっていた。