故やしきたかじんさん(享年64)の妻、家鋪さくらさんが名誉を傷つけられたとして、たかじんさんの元弟子、打越元久氏に損害賠償1000万円を求めた裁判の控訴審判決が14日、大阪高裁で言い渡され、同高裁は打越氏に、1審の地裁判決から200万円減額になる100万円の支払いを命じた。

 この日、さくらさん側代理人弁護士は出席せず、打越氏側は代理人弁護士2人と、打越氏本人も出席。打越氏側代理人は「最終目標は請求棄却だったが、(支払い命令額が3分の1になるのは)過去にも記憶がない稀なケースで、ある程度の主張は聞き入れてもらえたのではないか」と評価した。

 打越氏本人も「ここまで1年半以上、長い間ストレスもあって、顔面まひにもなったが、今はとりあえず、ホッとしている」と話した。

 今裁判は、さくらさん側が、ネットラジオ番組で打越氏の発言によって名誉を傷つけられたとして、慰謝料1000万円を求めて民事提訴。大阪地裁は昨年10月28日に、打越氏の発言でさくらさんの名誉を傷つけられたとし、打越氏側に300万円の支払いを命じる判決を下した。

 その後、打越氏側が判決を不服として控訴。今年2月から大阪高裁で控訴審が始まり、同4月28日に結審。同時に同高裁は、この日の言い渡し期日までに、和解提案も行い、その協議を5月20日までに定めていたが、不成立に終わり、同高裁の判決を待つに至っていた。

 打越氏側は控訴審で、発言のもとになった作家百田尚樹氏の「殉愛」や、同書への反論メッセージになる「『殉愛』の真実」のコピー、週刊誌報道などの証拠を提出。「あくまでも打越氏の発言は名誉毀損(きそん)に当たらないとの主張は変えない」とし、発言にいたった背景に、世の中に出ている刊行物があると丁寧に訴えを重ねてきた。

 今回、民事訴訟のため、法廷では主文しか読み上げられず、該当の理由については、今後、双方の代理人が確認することになるだけに、打越氏側代理人は「今後のことは、理由をはっきり読んでから(上告を含め)態度を明確にしたい」と話した。