世の中には、ないならないで本当に困るし、あったらあったで、もめごとの火種になりかねないものがあります。「お金」です。

 21日に亡くなった平尾昌晃さん(享年79)の取材をしていて、あたらめて思いました。

 一部で「遺産を巡って、13年に再々婚をした妻と前妻の息子たちの間で争いがある」と報じられました。取材をする限り、現在のところ、そのようなことはありません。妻側も息子側も周囲の人や取材に対して、「ありません」と否定をしています。次男の歌手平尾勇気が言っていた「21日に亡くなってから29日の通夜と30日の葬儀まで、母と兄弟や事務所スタッフらで、ほとんど寝ないで準備を進めてきた。遺産の話なんかをしている時間なんてありませんでした」というのが正直なところでしょうか。だから“現在のところ”はありません。

 約5000曲を作曲した著作権の印税を含む遺産などについて話し合うのは、これからのことです。話し合うといっても、法的に妻が2分の1で、残りを子どもたちが頭数で均等割りにするというルールが決まっています。遺産相続に詳しい弁護士らに相談をしながら、平尾さん個人の資産や経営していた会社の資産などを精査して、粛々と決めていくのでしょう。

 遺産総額は5億か10億か、あるいは30億なのか。他人の財布の中身は分かりませんが、平尾さんが草葉の陰で泣くような争いにならなければいいなと願っています。

 遺族は「平尾昌晃の名に傷を付けないように」との認識では一致しているようです。でも「金に目がくらむ」という言葉もありますし、理屈では割り切れない思いがあるのかもしれません。

 ただ、もしも法廷闘争にでもなったら、しっかりと取材をするつもりです。