吉本興業には、6000人もの芸人がいるが、テレビに出るのは、そのうちのほんの一握りにすぎない。

 28日に東京・新宿のルミネtheよしもとで「ルミネthe大阪よしもと 大笑博覧会~新宿に大阪芸人一挙大集合SP!~2回目」を見た。9月に行われた1回目も見たのだが、大阪芸人の層の厚さを、まざまざと見せつけられた。

 今回出演したのは、大阪で活躍する19組。早朝7時にバスで大阪を出発して上京、ルミネ出演後は、そのまま再びバスに乗って大阪に帰った。

 大阪で売れっ子になって、将来は東京進出。未来のスーパースター候補はいないかと、独断と偏見で、じっくり採点しながら見た。

 最高得点はピン芸人「シゲカズです」。大阪・八尾出身の35歳。08年にNSC大阪に入った。細面のイケメンだが、舞台には女装姿で登場してきた。手を切って血が出てくるのだが、それを、たたんで積み重ねてある白いタオルで押さえると「殺」など恐ろしい文字が、次々とにじんでいる設定。その合間にキリンだったり、パンダだったりの笑える絵が血でにじみ出してくる。

 ネタを見たことない人に活字で説明しても分かってもらえなくて当然だが、YouTubeで検索してもらえれば、面白さは分かってもらえると思う。ルックスからして、若い女性や東京でもウケるだろう。あとは、膨大な数の大阪芸人の中から、どう抜け出してビッグチャンスをつかむか。来年のR-1ぐらんぷりの優勝候補に挙げておこう。

 続いて面白かったのが、いかにも関西の漫才というコンビの「ダークニンゲン」。12年に大阪NSC入所の同期生。同期は、売れっ子になった女ピン芸人のゆりやんレトリィバァ(26)がいる。金髪でボケのかんばら先生(25)と、ツッコミの山下真一郎(29)。この日は野球ネタを披露したが、パワフルでテンポのいいしゃべくりは、東京でも受けると思う。

 かんばら先生は「実家住みます芸人」ということで兵庫・西宮の実家住まい。この日は、寝坊して朝のバスに乗り遅れた。母親に「何で起こしてくれなかったん」とブチ切れて、2万円を借りて1万3000円自腹で新幹線で上京した。バスで先に出発した他のメンバーより早く着いてしまったので、東京に住んでいる弟に、池袋で飯をおごってもらったという話が芸人らしくて笑えてしまう。

 シュールなコントを見せてくれたのが、コンビの「絶対アイシテルズ」。若いはずだが、老けて見えるらぶおじさん(永遠の52歳)と楠見大輔(28)は10年に大阪NSC入所。子供のピンポンダッシュを題材に笑わせてくれた。

 他には、セルライトスパ、ヒューマン中村、ラニーノーズ、モンスーン、からし蓮根、電氣ブラン、ロックンロールブラザーズ、ダブルヒガシ、ニッポンの社長、マユリカ、テコンドー近藤、熱いお茶、ロングコートダディ、紅しょうが、トットが出演。

 この中からスターが誕生するのを楽しみにしたい。