大林宣彦監督(79)が新作映画「花筐/HANAGATAMI」(16日公開)の会見で語った、作品の上映時間、尺についての話が興味深かった。

 ある人が、あなたの映画は長い、あのシーンやこのシーンは必要なんですか、と質問した。同作は2時間49分。戦争が迫る時代を生きた人々の群像劇だ。確かに長い、と言えるかもしれない。

 しかし、大林監督は「僕はすべてにおいて自由でありたい。作品の時間が長いとおっしゃいますが、何を基準に長いとおっしゃるでしょう。1秒の映画があってもいいし、一生かかっても見られない映画があってもいい。俺は俺の映画を作る、自由に表現させていただきたい」と、きっぱり語った。

 「俺は俺の映画を作る」という言葉に、力強さと、まだまだ湧き出る創作意欲を感じた。そして「1秒の映画」「一生かかっても見られない映画」というものをちょっと想像した。自分も、何を基準に映画が長いと思っていたのだろう、と考えさせられた。

 大林監督は昨夏、一部で肺がんで余命3カ月と宣告されたとも報じられたが、すでに次の作品の準備に入っているという。