劇画家さいとう・たかを氏(81)の劇画「ゴルゴ13」連載開始50周年を記念して創設された「第1回さいとう・たかを賞」(主催・さいとう・たかを財団)の発表、授賞式が12日、都内で行われた。さいとう氏が長年採用してきた分業によるコミック制作システムに光を当てることを目的に、シナリオライター、作画家、担当編集者の3者に「ゴルゴ13像」を、シナリオライターと作画家には、それぞれ50万円が贈呈された。

 受賞作は小学館「ビッグコミックオリジナル増刊」に連載中の「アブラカダブラ~猟奇犯罪特捜室~」。シナリオのリチャード・ウー氏、作画の芳崎せいむ氏、担当編集者の中山久美子氏が受賞した。新人編集者時代に「ゴルゴ13」の担当編集を務めたことのある、ウー氏は「さいとうたかを氏は私の師匠。右も左も分からない新米を戦力として扱って、劇画について教えてくれた。さいとうたかを塾の出来の悪い塾生が、卒業証書をいただけた思い」。芳崎氏は「原作付きはできないと思っていたが、ウーさんの脚本が好きで書いています。ありがとうございます」と話した。

 さいとう氏は「ウー氏が、私の編集者だった彼とは知らなかった。才能があるのは分かっていたが、なんあとウーなんていう名前は知らなかった。えこひいきしてると思われるから、違う作品にしておけばよかった(笑い)。才能を集めて作れば素晴らしい作品ができる。このやり方が、この世界の本流になっていくと思う」と話した。

さいとう氏、漫画家池上遼一氏、相賀昌宏小学館社長、作家佐藤優氏、漫画原作者やまさき十三氏が選考委員を務めた。