先日、遠方の、とある地方裁判所に公判傍聴取材に行った。この裁判所で傍聴のため法廷に入る際、所持品検査の列に並んでいると、これまで東京地裁で何度も検査を受けたことがある刑務官に遭遇した。

 思わず、「東京地裁で見かけたことありますけど、出張ですか」と声をかけてしまったところ、「私も何度も(東京地裁)104号法廷で見かけてます。ここまで来るんですね」と初めて会話を交わす出来事があった。その地裁では、普段は所持品検査をすることがあまりないようで、応援に来ていたのかもしれない。

 最近は、法廷での傍聴取材の機会も少ないが、2014~15年にかけオウム事件関連公判では、月の半分くらい東京地裁に通っていた。刑務官に言われた104号法廷というのは、まさにオウム裁判が行われた法廷だった。そんなこともあり、東京へ戻る電車の中で、オウム裁判を思い出しながら帰ってきた。

 地下鉄サリン事件からまもなく23年がたつ。オウム裁判も終結し、事件の風化も懸念されている。公安調査庁のホームページでは、風化を防ぐために、遺族らの声を取り入れた特設サイトが設置されている。興味のある方は、是非、一読してみてください。