倉科カナ(30)が、フジテレビ系で12日に放送の「世にも奇妙な物語’18春の特別編」(午後9時)に、12年10月放送の「-秋の特別編」以来、5年7カ月ぶりに出演することが30日、分かった。ドラマの1編「少年」に主演する。

 倉科は前回の「-秋の特別編」で、シリーズの中でも名作の1つと評判の「相席の恋人」に主演し、14年3月に亡くなった宇津井健さん(享年82)と共演した。今回の出演にあたり「当然、宇津井さんはいない、1人で立っているんだと少し切なくなりました。また『相席の恋人』が、とてもすてきな作品でプレッシャーはありますが、プレッシャーに負けず、丁寧に紡いでいけたらと思っています」などと、宇津井さんへの思いを語った。

 倉科は「少年」で、上司に見合いを持ちかけられながら、恋人がいるからと断ってきた1人暮らしのOL岡林遥を演じる。遥は、とある交通事故を目撃してしまう。被害者は少年で、病院で目を覚ますと「田山啓輔」と名乗るが、看護師が田山家に電話をかけると「啓輔は死にました」と告げられ、再度、尋ねると少年は「間違えました。亮太です」と答える。一方、家に帰った遥のもとには無言電話がかかってくる。

 そんなある日、遥が退社しようとすると、会社の前に少年がおり、別の日にベランダから見下ろすと、そこにも少年がいた。さらに遥が買い物をしていると、雨の中、わざわざ少年が忘れ物を届けにやってくる。びしょ濡れの姿を見かね、少年を家に招き入れると、目を離した隙に私物を確認し始める。不気味な少年との出会いによって巻き起こる、奇跡のような出来事が繊細に描かれたオリジナルストーリーだ。

 倉科は「少年」について「脚本を読ませていただいて、誰しも経験すること…苦しいけど乗り越えなければいけないこと、でも自分ではその一歩が進めない…が描かれており、きっと見てくださる方も少し心が軽くなる作品になるんじゃないかなと、そのためには言葉だけではない、行間にあふれた思いをしっかり、そして大切にしたいと思いました。いとしい人の存在を改めて、大切にしたいと思える、そんな心のある、とってもすてきなヒューマンドラマになっております」と語った。

 演じる遥については「1人だけ時間が止まったままのようで、それでいて世界は動いている、取り繕って生きて、わかっていても、どうしても前に進めない一歩。淡く尾を引く思いを抱えた女性だと思います」と語った。その上で「実際にはあり得ないかもしれないけど…『想い(おもい)』とは最強なんじゃないか!と思わせてくれるところです」と作品の魅力を語った。

 作品について語る中、宇津井さんとの思い出に話は及んだ。「前作の『相席の恋人』では大先輩の宇津井健さんとご一緒させていただいて、とても緊張し、お芝居も毎日反省し、落ち込んでいたのを覚えています。そんな中、宇津井さんの温かく包み込んでくださるような人柄と重厚なお芝居に、とても助けていただきました。本当に宇津井さんとの思い出のいっぱい詰まった作品です」と、女優人生において「世にも奇妙な物語」における宇津井さんとの共演が、かけがえのないものであることを強調した。