今月16日に急性心不全のため63歳で亡くなった歌手西城秀樹(さいじょう・ひでき)さん(本名・木本龍雄=きもと・たつお)の告別式が26日、東京・青山葬儀所で営まれた。

 会場には朝早くから大勢のファンがつめかけ、順番を待つファンが会場付近の道路を埋め尽くした。最寄り駅の女性用トイレには、喪服を着た女性による長蛇の列ができるほどだった。

 一番乗りで並んだのは、大阪府から妻と2人で訪れたという川野洋さん(56)。宿泊先の赤坂からタクシーを飛ばし、午前3時半から並んだという。お焼香を終え「泣いてきました。『47年間ありがとう』と伝えてきました」と話す顔は、気持ちの整理がついたかのように、すっきりとしていた。

 デビュー当時からのファンで、イベントやコンサートに何度も足を運んだ。CDやDVDのみならず、記念グッズもすべて購入した。半生をささげ、応援してきた。

 川野さんは15年に心臓病を患った。そんなときも、2度の脳梗塞から復活した西城さんに勇気をもらった。「心臓病になって、ごめんなさい。大きな声は出せなくなってしまいました」と、ファンクラブブースで手紙を渡した。

 すると翌年の45周年コンサートのとき、ロビーにいた川野さんを見つけた西城さんの妻・美紀さんが、「ご無沙汰しております。お元気になられたんですね」と声をかけてくれた。あのときのことを覚えており、夫婦で気にかけてくれていた。

 ファンの体調を自分のことのように気遣い、家族ぐるみで温かく接してくれた西城さん。「一緒にお写真を撮っていただいたことは、いまだに忘れません。一生の宝です」。