7人組ユニットDA PUMPが3年半ぶりのシングル「U.S.A.」が今日6日、発売された。

 発売前から公式YouTubeで公開したミュージックビデオ(MV)が、前日5日には350万の再生回数に達するほどに、インターネット上でブレーク中。このほど、ボーカルでリーダーのISSA(39)が、日刊スポーツの単独インタビューに応えた。

   ◇  ◇  ◇

 1度聴いたら耳から離れない。そんな中毒性の高いキャッチーなメロディーに乗せて、へんてこりんな歌詞を、ISSAが圧倒的に大まじめな歌唱力で歌っている。DA PUMPが満を持してリリースした新曲は、92年のコンピレーションアルバム「スーパー・ユーロビート」に収録された、ジョー・イエローという海外アーティストが歌った同名曲。あの西城秀樹さんが、ヴィレッジピープルの「YMCA」に絶妙な日本語歌詞をつけて大ヒットさせた「YOUNG MAN」と、同じようなコンセプトで制作した作品だ。

 ISSA 西城秀樹さんのような大それたことは考えてもいませんが、歌詞だけでなく振付でも、KENZOとTOMOが1度見たら忘れられないインパクトのあるもの、みんなで踊れるものを作ってくれました。

 ISSAの「U.S.A.!!」の歌声に合わせて、右手を勢いよく挙げるのは「自由の女神ポーズ」。ほかにも90年前後に一世を風靡(ふうび)したM.C.ハマーからインスピレーションを受けたという、素早いカニ歩きのような「インベーダーフォーメーション(ダンス)」。さらには、考案したKENZOが「もとはアメリカンフットボールの選手が得点した時に、やっていた動きが発祥」と解説する、昨年から全米で大流行していて大リーグ・エンゼルスの大谷翔平も本塁打後のベンチでチームメートと踊った、顔の横に立てた親指をクイッと動かす最先端の「SHOOT DANCE」も、サビに導入。DAICHIが、SNSのいいねボタンからの引用で「いいねダンス」と命名した。

 昭和のテイストが残るユーロビート。

 1ドル=360円で海外旅行が夢の時代だったころの価値観で米国への憧憬(しょうけい)を、しつこく歌いつづる歌詞。

 ユーモアなダンス。

 さらに衣装やMVも、色彩の調和を度外視。

 あらゆる面で、遊び心満載の笑える世界観を突き詰めた。

 その狙いが見事に的中。ネット上では「ダサすぎて頭から離れない」「いや、1周回って、ダサかっこいい」「いやいや、明らかにかっこいいでしょ」と、「U.S.A.」論議が沸き起こった。

 ISSA でも、僕はこんな形で盛り上がってくれるなんて思っていなかったですよ。だって、年明けに事務所社長から『ISSA これ歌ってみろ』と提供された時は、歌詞も含めて『何じゃこりゃ』と思いましたから(笑い)。でも、やるからには本気でと歌ってみたら、ハマりましたね~。真剣にふざけるってことを振り切ったら、『これぞDA PUMP』っていえる代表曲の1つ、ライブの定番になり得る曲が完成しました。僕もユーロビートを歌うなんて初めてで、こういう曲が自分に合うなんて今まで気づきませんでした。ウチの社長のセンスです。さすがです。

 DA PUMPが所属するライジングプロは、同じユーロビートで85年に大ヒットして、昨年にバブリーダンスをきっかけに、リバイバルヒットとなった「ダンシングヒーロー」の荻野目洋子が、タレント第一号。その後も安室奈美恵でミリオンヒットを連発し、MAX、SPEED、最近でも三浦大地ら実力派のアーティストと名曲を、数々生み出してきた。そこのカリスマ社長のひらめきだったと明かした。

 ♪カモン・ベイビー・アメリカ どっちかの夜は昼間

 ♪だけれど僕らは地球人 同じ星(ふね)の旅人さ

 やはり、何度聞いても笑ってしまう楽曲だ。

 ただ、祖父が米国人のISSAだけは、妙に大まじめになって力説した。

 ISSA 僕はこんな外見なのに英語が話せないコンプレックスがあったんです。インタースクールに通わせてもらえなくて、悔しい思いをしていたんです。そして沖縄の実家のそばには米軍基地もあったし、常にアメリカ文化が当たり前のように自分の周りにあった。あらためて振り返ると『あっ、俺ってずっと米国に憧れていたんだ』って気づいて。だから、これは僕個人にとってはソウルナンバーなんですよ。

 とにもかくにも、歌唱力もダンススキルも高いDA PUMPが、遊び心と細かいネタをちりばめたからこそ、発売前からネット上でツウな“音楽オタク”から絶賛されて、動画サイトで素人が振付をマネし始める現象になってきた。

 ISSA 何がヒットにつながるかは、誰も最初からは分からないので、ダサかっこいいとでも何と言われても、皆が聴いて楽しんでくれたら、最高です。

 芸能界でも早くも“バズって”いる。ツイッター上では、「恋するフォーチュンクッキー」を大ヒットさせたことのあるHKT指原莉乃が「頭おかしくなりそうなくらい聴いてる」と、「PERFECT HUMAN」を流行らせたオリエンタルラジオ中田敦彦は「悔しいくらい最高。今年はこれしかない!」とつぶやいた。

 13年=「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)

 14年年末~15年=「R.Y.U.S.E.I.」(三代目J Soul Brothers)

 16年「PERFECT HUMAN」(RADIO FISH)

 16年年末~17年「恋」(星野源)

 17年下半期「ダンシングヒーロー」(荻野目洋子)

 CDが売れなくなり、老若男女に愛されるようなヒット曲や流行歌が生まれにくい昨今だが、それでも毎年、カラオケでダンスをマネしながら歌うヒット曲が、1曲は生まれている。DA PUMPの「U.S.A.」が、2018年の代表曲になるのか。ここからの展開にも注目だ。【瀬津真也】