香川京子(86)が、TBS系日曜劇場「この世界の片隅に」(日曜午後9時)に出演することが4日、分かった。

 香川がTBS系ドラマに出演するのは、2001年の「明るいほうへ 明るいほうへ」以来17年ぶりで、同系の連続ドラマに出演するのは97年の日曜劇場「オトナの男」以来21年ぶり。

 香川は劇中で、節子という女性役を演じる。こうの史代氏の漫画を原作としたドラマは、松本穂香(21)演じるヒロインの北條(浦野)すずと、松坂桃李(29)が演じる夫の北條周作が生きる、太平洋戦争下の不安定な時代の広島県を舞台に描く本編に加え、原作にはないオリジナルの現代パートも展開される。節子は本編と現代パートとをつなぐ、キーパーソンだ。こうの氏もアイデアを出している節子が何者なのかは、劇中で徐々に明らかにされていく。

 香川は、脚本の岡田恵和氏と、03年のNHK「ちゅらさん2」以来の“再会”を果たしたことに「このたび、久々にドラマに出演させていただくことになりました。脚本の岡田さんとは『ちゅらさん2』以来なので、またご一緒できるのが楽しみです」と喜んだ。

 演じる節子については「誰にでも言いたいことを言える明るい性格です。普段は真面目な役が多いので、前向きで人のために自分のできることをしてあげられる明るい節子を演じるのが楽しみです。そして、なかなか若い方たちとご一緒する機会がないので、共演も楽しみです」と、現代パートで近江佳代を演じる栄倉奈々と江口浩輔を演じる古舘佑太郎らとの共演を期待した。

 そして「広島には何十年も前に1度来たきりで、また来なければいけないと思っていました。それが今回このドラマがきっかけで再訪することができました。平和記念公園でお祈りするシーンもあり、自分の気持ちでお祈りできました。あそこに立っただけで胸がいっぱいになりますね。お花も供えることができましたし、平和へのお祈りができてよかったです」と語った。

 香川は3月に出版した著書「凛たる人生 映画女優 香川京子」の中でも、戦争について触れている。「広島はとてもきれいですてきな街だと思います。原爆で何もなくなったところから復興を果たせたのは平和が続いてきたから。これからも平和な時代を続けなければならないと思います」と平和への思いも訴えた。

 佐野亜裕美プロデューサーは、黒沢明監督や小津安二郎をはじめとした日本映画の巨匠監督たちの作品に数々出演し、テレビドラマでも活躍してきた香川の出演決定に「すずさんたちと同じ時代を生きてきた香川京子さんが、この大変重要な役を引き受けてくださったことを幸福に思います。見ているこちらが姿勢を正される、凜(りん)とした佇まい、たおやかさと強さが、すずさんたちと私たちを優しくつなげてくださると思います」とコメントした。