宝塚歌劇団月組トップ娘役、愛希(まなき)れいかが1日、兵庫・宝塚大劇場で、退団公演「エリザベート-愛と死の輪舞-」の千秋楽を迎え、入団10年の本拠地に別れを告げた。愛希は11月18日の東京宝塚劇場公演千秋楽をもって、トップ在位6年7カ月にして退団する。

「ホッとしました。ホッとし…。すごく緊張していたので、すっごくホッとしました。感謝の気持ちしかありません」

満面笑み。公演後、約15分のサヨナラショーを経て、3度繰り返されたカーテンコールも終え、トップ珠城(たまき)りょうと2人で幕前へ現れて、安堵(あんど)の思いを何度も口にした。

「それでいいの?」。1学年上で、宝塚音楽学校時代からの先輩後輩、姉と慕った珠城に確認されても「はいっ」。うなずくようにし、客席に手を振った。

愛希は09年に男役として入団。前月組トップ龍真咲(りゅう・まさき)の勧めもあって、11年5月に娘役へ転向。1年も経たない12年4月、龍に迎えられトップ娘役に就き、16年9月から現トップ珠城(たまき)りょうの相手娘役に就いていた。

サヨナラショーでは、本拠地トップ娘役お披露目だった「ロミオとジュリエット」のナンバー「いつか」などを披露した。珠城とのデュエットダンスでも魅了した。

タイトルロールを演じての退団公演は、台風で異例の2度の公演中止などもあったが、千秋楽には月組全員が元気な姿でそろい、同期らからの花束を受け取った。

「ここ(大劇場)には神様がいるんだろうなと思い、毎日毎日、公演していました。どんなに緊張していても、ここには神様がいるんだろうなって。ここはパワースポットですっ!」

本拠地を「パワースポット」と表現し、タカラジェンヌとしての“故郷”にサヨナラした。