1989年(平元)に52歳の若さで亡くなった「昭和の歌姫」美空ひばりさんに28年間、付き人として仕え、最期をみとった関口範子さん(79)が初の告白手記「美空ひばり恋し お嬢さんと私」(主婦と生活社)を5月17日に発売することが27日、分かった。

ひばりさんが1962年(昭37)に小林旭(80)と結婚した際も一緒に新居に入ったほど信頼されていた関口さん。高倉健さんや大川橋蔵さんら故人との秘話も満載だが、現在も現役で活躍する芸能人とのエピソードも面白い。

近藤真彦(54)は、ひばりさんが亡くなった際、深夜にもかかわらず真っ先に自宅を弔問した。だが、39年前の出会いは「おばさん、歌うまいね」の失礼なひと言から始まった。

芸能界にデビューしたばかりの近藤は80年、NHKの音楽バラエティー番組「テレビファソラシド」で、ひばりさんと初めて共演。リハーサルでヒット曲「悲しい酒」を聞くと、「おばさん、歌うまいね」と素直な感想を口走った。所属事務所のジャニー喜多川社長(87)は、真っ青な顔をして謝罪に駆けつけたが、ひばりは「正直な感想だったのでしょう。失礼でも何でもない」と笑い飛ばしていたという。

また、離婚した小林と12年ぶりに再開した時のことも記している。福岡のホテルに滞在している時、ひばりさんから「珍しい人がいるからレストランにおいで」と呼び出されて行ってみると、小林とひばりが談笑中だった。約1年半の短い結婚生活に思いをはせた関口さんは驚いたが、2人ともサバサバした様子で会話を楽しんでいたという。

関口さんは現在も、東京・青葉台にある「ひばり御殿」に付き人時代の仲間2人と一緒に住んでいる。ひばりさんの長男・加藤和也氏(47)は「14年に自宅の一部を『美空ひばり記念館』として一般開放をしてからは、来館者の案内役を務めてくれている」と感謝のコメントを寄せた。

女性初の国民栄誉賞を受賞した歌謡界の女王が亡くなって30年。今でも後援会には1500人が参加。5月29日の誕生日に生誕祭を行うなど、「お嬢さん」との強い結びつきを保ち続けている。