Kis-My-Ft2の藤ケ谷太輔(31)がジャニーズ事務所に入った時のエピソードに思わず笑ってしまった。

ファンの人なら誰でも知っていることなのかもしれないが、6日スタートのドラマ「ミラー・ツインズ」(フジテレビ系)に合わせたインタビューで明かした話が興味深かった。

当時11歳の藤ケ谷は、入所オーディションで落第を告げられてしまう。帰ろうとしたとき、番号プレートを付けたままだったことに気付く。「合格者の番号をボードに書き込んでいる男の人が目に入りました。ああいう(雑用係の)人なら、プレートの返し場所も知っているだろうと思って『これお願いします』と渡したんです」。ところが、男性は「ユー、僕に返しにくるなんてたいしたもんだ」と言うと、藤ケ谷の番号を見て、合格者の中に書き加えたのだという。

「ユー」でおわかりのように雑用係に見えたその男性こそジャニー喜多川社長その人だったのだ。小学生の藤ケ谷は顔はもちろん、「ユー」の口癖も知らなかったから、文字通りキツネにつままれたような気になったそうだ。

時は流れ、21歳になったとき、ジャニーさん演出の「滝沢歌舞伎」で藤ケ谷は弁慶役に抜てきされる。客席の反応も良く、手応えを感じた舞台だった。が、ジャニーさんは義経役の滝沢秀明を絶賛するばかりで、藤ケ谷には「ユーは下手だから、邪魔にならないように」とそっけない。

1年後、再び「滝沢-」で弁慶役が回ってくる。やっぱりジャニーさんは認めてくれていたんだ、とあいさつに行くと「ユーはでっかいからね」と身長のことしか言ってくれなかった。

がっくりしていると人づてにジャニーさんが周囲に「弁慶がいいからしっかり見てね」と話していることを知る。本人に直接告げなかったのは、ジャニーさんならでは奮起のうながし方だったようだ。ジャニーさんには「落第してもプレートを社長のボクに直接返しにくる芯の強い子」という印象があるから、突き放す育て方がベターと考えていたのだろう。

「とにもかくにも、あの時プレートを返しに行かなかったら、ジャニーズに入ってもいなかった。お借りしたモノは必ず返す、今でも心に刻んでいます」と藤ケ谷は笑顔で振り返る。【相原斎】