コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)が5日、東京地裁(小野裕信裁判官)の初公判で起訴内容を認めた。検察側は懲役1年6カ月を求刑した。

情状証人として、瀧被告が通院している国立研究開発法人国立精神・神経医療センターの医師・松本俊彦氏が出廷した。瀧被告は保釈後に、同センターで個別に薬物依存の治療のためのプログラムを受けており、現在までに松本氏と8度、心理臨床士と4度、テキストをもとにした読み合わせや、課題に取り組むプログラムを受けている。

通常は集団で行うプログラムだが、著名人であることなどから個別に行っているという。同プログラムの中で、薬物依存かどうかを判断する全11項目中、瀧被告は1項目のみ該当しているといい、松本氏は瀧被告について「依存症とはいえない」との判断をしていることを明かした。

瀧被告はコカインの使用について、ストレス解消のためと証言した。近年は仕事の幅が広がり、過密になり「心にたまる澱(おり)のようなもの」としてストレスがたまっていたという。治療を受ける中で「今まで薬物を使用することについて考察したことはなかった。今回診察を受けて、夜中に1人で限られた時間の中で使っていたことが浮き彫りになった。自分1人で全てを抱え込んでしまっていた」ことに気付いたという。

松本氏は、今後の治療や再犯を防ぐためには「薬物をやめた向こう側に希望がないといけない」と話した。瀧被告は、裁判官から「その希望は何か?」と問われると「私にも家族がいます。家内と娘をどうにかして養っていかないといけない。その責任感が支えになっていますし、未来への活力になっています」と話した。

判決は18日に行われる。