コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪に問われたミュージシャンで俳優のピエール瀧(本名・瀧正則)被告(52)の判決公判が18日、東京地裁で開かれ懲役1年6月、執行猶予3年の判決が言い渡された。小野裕信裁判官から5分を超える説諭をされ、芸能界復帰に向けても励ましの言葉を受ける異例の展開となった。

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小野裕信裁判官は、これまでの裁判でも、しばしば説諭が報じられることがあった。「人情派裁判官」の印象もある。09年には水戸地裁で、寝たきりの84歳妻に頼まれ、妻を絞殺した89歳の男性被告に懲役3年執行猶予5年の“温情判決”をくだした。「仏壇の前でひ孫を持ち上げ、温かさや重さを奥さんに報告して弔って欲しい。寒いが体に気をつけて」と気遣った。

一方10年、「赤報隊事件を忘れたか」と書いた脅迫文を朝日新聞記者に送りつけた56歳被告には「話し合って結論を出すのがこの社会のいいところ。被告の行動は到底許されない」と断罪。建築士や整復師などの被告に「プロ意識を持つ」よう説諭する場面も多い。 第55期(01年度)の司法修習後、大津地裁判事などを経て17年から東京地裁刑事第15部判事を務めている。