「第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞」授賞式が19日、都内の同局で行われ、の東京都在住のネイリスト宮原久実さん(29)の作品「狂いゆく美」が大賞を受賞した。

シナリオは「テレビドラマ部門」「オリジナル配信ドラマ部門」の2部門で、同大賞として初めてテーマを設定。「初恋」「最後の恋」を題材に募集した。

応募総数1236編の中から大賞に選ばれた。宮原さんは「まさか大賞をいただけるとは。実感が湧きません」と声を震わせた。「長年書いてきて1度も報われたことがなくて、やめようと思っていたところでこの賞をいただけた。この世界は厳しいと思うし、報われないことの方が少ないと思いますが、報われなくても描き続けていきたいと思いました」とかみしめるように語った。選考委員を務めた脚本家の井上由美子氏(57)は「100回に2回くらいは報われて、時々いいことがあるので勇気を持って頑張って」と笑顔でエールを送った。

喜びを誰に伝えたいかとの質問には「父」を挙げ「シナリオスクールに通いたいと言った時、猛反対されて『分かりました。辞めます』と言って通い続けていました。今日やっと報告できます」と笑った。

「狂いゆく美」は、陶芸家の夫と、夫の作品のために命をささげる妻の愛を描いた作品。中学生の頃に身近な人を亡くして以来、人の死について考えていたと明かし「脚本にすることで消化できている気がした。病気でなくなった方も、不幸だった部分と幸せだった部分があって、人から見たらかわいそうと思っても、本人にとっては幸せだった人生というものを描きたかった」と話した。

選考委員の岡田恵和氏(60)両沢和幸氏(58)も登壇。大阪府在住の栄弥生さん(48)の「腸弱男の恋」、東京都在住の山崎陽平さん(24)の「両手で、そっと」も受賞した。