歌舞伎俳優片岡愛之助(47)が23日、毎年秋のライフワークとしている「第12回永楽館歌舞伎」(11月4~10日)の取材会を行い、今回は「人気演目の口上がございません」と明かし、ジョークをまじえて抱負を語った。

同歌舞伎は、兵庫県豊岡市に現存する日本最古の芝居小屋「出石永楽館」での上演。08年から毎年、愛之助が座頭を務める公演を打ち、うち1作は豊岡周辺ゆかりの演目を出している。

今回は、出石藩仙石家の藩祖を主人公とする「道成寺再鐘供養(どうじょうじごにちのかねくよう) 仙石権兵衛出世噺」と決めた。「権兵衛は石川五右衛門を捕まえた人として有名ですが、実は資料もそんなに残っていないので、どうふくらませていくか」と言い、まだ役作りの前段階にあるという。

また、もう1本は「滑稽俄安宅新関(おどけにわかあたかのしんせき)」を上演する。愛之助は「(同演目には)口上に似たような場面があるので、その分、お芝居をきっちりお見せして、今年は口上はなしにしました」と説明した。

同歌舞伎は毎年、歌舞伎の形式にとらわれないざっくばらんな口上が人気のひとつだが、今年は劇中でアドリブも含めてわかせてくれそうだ。

ライフワークも12回目を迎え「そろそろご当地演目もエピソードも残り少なくなってきた」と漏らしつつも、一方では「やりたいことはまだまだ、たくさんあるので。役者がそろわないとできない演目もありますけど、まだまだやりますよ」と約束していた。