宝塚歌劇団星組の人気スター瀬央ゆりあが28日、兵庫・宝塚バウホールで、2度目の単独主演になる「音楽奇譚『龍の宮(たつのみや)物語』」の初日を迎えた。

同期の礼真琴が新トップに就いた新生星組期待のスター。花組新トップ柚香光(ゆずか・れい)や、各組にも主力がそろう黄金世代95期で、男役10年の昨秋、バウ単独初主演を果たした。今回が2回目のセンターで「まず、私でいいのですか? と(笑い)。でも、ありがたい話」と感謝しての主演舞台だった。

物語は、夜叉ケ池伝説と浦島太郎、青年と龍神の姫の愛憎を描く。舞台は明治中期。瀬央は実業家島村家の書生・伊予部清彦を演じている。仲間との怪談話で夜叉ケ池に度胸試しに行く。そこで玉姫(有沙瞳)に出会い、龍神の城「龍の宮」へと引き込まれる。

幻想的な世界観で「ミステリアスな作品なので、心の機微を大事に」と言い、稽古に励んできた。

新トップの礼は、ひとあし早くトップ初主演作「ロックオペラ モーツァルト」を上演し、前日27日には大阪・梅田芸術劇場公演を終えた。宝塚音楽学校時代から首席で、同期の先頭を走ってきた礼とは、予科生時代から「ずっと一緒だった」といい、ともに星組に配属された後も、背を追ってきた存在だ。

礼のトップ就任には「うれしかったです。おめでとう! って気持ちでいっぱいでした」と言い、近くで支える立場になった自身の気持ちも引き締め、臨んだ今作だった。

瀬央は新人公演主演も最終7年目で初主演。男役10年の節目に、初のバウ単独主演を得た。自分のペースを乱すことなく、階段を上がり、いまや黄金世代でも屈指の勢いを誇るスターへと成長。その真価を発揮している。

公演は12月9日まで。