宝塚歌劇団の花組人気スター瀬戸かずやの東上初主演作「ミステリアス・ロマン マスカレード・ホテル」が5日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで開幕した。

東野圭吾氏の小説を原作に、昨年1月には木村拓哉主演で映画化もされた作品。研16(16年目)の瀬戸はこだわりの着こなしで、刑事、ホテルマンにふんして、男役の美学を体現した。

小説、映画も見た瀬戸は、木村の演技を参考に、宝塚バージョンとして役作り。「(木村の)あの表情憎い、その雰囲気出したいな。鋭い目つきも」と言いつつ、一方では「姿勢の悪さ」に苦しんだ。

刑事が捜査のためホテルマンにふんする設定で、教育係でヒロインの山岸尚美(朝月希和)から「背筋を伸ばすように」と再三、注意される場面がある。

タカラジェンヌは入団前の宝塚音楽学校時代から、美しい姿勢、立ち姿、歩き方を徹底的にたたき込まれる。瀬戸は「姿勢を悪くするのって、私たちは慣れていない」と苦笑しながらも稽古を重ね、私服で登場する冒頭と、ホテルマンとして凜(りん)と立つ中盤以降と、姿勢、立ち姿にもこだわって演じ分けていた。

瀬戸演じる新田浩介の相棒で、品川署の巡査・能勢役は後輩の飛龍つかさ。映画版では小日向文世が演じていたが、宝塚版では瀬戸より下級生のため、今回は、後輩刑事の設定で、飛龍が熱演を見せた。

花組は前作で、トップとして5年半率いた明日海りおが退団。柚香光が新トップに就き、新体制がスタート。柚香の東京公演とともに、2班に別れて新年幕開け。1班を束ねる瀬戸は「みんなで(新生花組の)土台を築く1年に」と意気込み、20年のスタートを切った。

ドラマシティ公演は13日まで、東京・日本青年館ホールで20~27日。