宝塚歌劇団の月組人気スター鳳月杏(ほうづき・あん)が8日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで、月組復帰後初主演作「デジタル・マジカル・ミュージカル 出島小宇宙戦争」の初日を迎えた。

鳳月は06年入団。月組から14年末に花組へ移り、月組時代からの先輩だった前花組トップ明日海りおを近くで支えるスターとして活躍し、昨春に古巣へ戻った。劇団最古、花組での経験を生かして男役道に磨きをかけ、センターに立った。

鳳月にとっては、外部劇場で、東京での上演もある作品で初主演。江戸時代に宇宙研究をする天文方・カゲヤス役で主演し、宇宙人が紛れ込んでいるという長崎の出島を舞台にした冒険活劇に臨んだ。

兄弟子のリンゾウは暁千星(あかつき・ちせい)、謎の西洋人シーボルトは風間柚乃(かざま・ゆの)。ともに、いまや月組の主力に成長したスターを従えての上演。芝居、役作りへのこだわりが強い鳳月は、メーク、つけまつげ、アイラインまで役によって、年齢設定に応じて変え、考える姿勢を伝えてきた。

稽古中にも「この作品には、こういう感じの人が出てきてほしいとの気持ちに素直に向き合い、役に入る」と語り、自身の術を月組の後輩に伝えている。

これにこたえて、暁は熱い思いを秘めたキャラクターを好演。若手ながら芝居巧者の風間は、怪しい空気をまとうシーボルトに仕上げてきた。

また、昨夏に娘役に転向した蘭世恵翔(らんぜ・けいと)は、風間演じるシーボルトに従うヘレーネ役に挑んだ。

ドラマシティ公演は16日まで。東京建物Brillia HALLは、24日~3月1日。