東日本大震災の被災遺族でもあるフリーアナウンサー生島ヒロシ(69)が11日、被災地となった故郷の宮城・気仙沼からTBSラジオ「生島ヒロシのおはよう定食/一直線」(月~金曜午前5時)の生放送を、来月開校予定の気仙沼リアス調理専門学校で行った。当初は地元の人たちを入れる予定だったが、新型コロナウイルスを考慮して無観客での生中継となった。

2万2000人を超える死者、行方不明者を出した11年3月11日の東日本大震災から丸9年。生島は気仙沼に住んでいた妹夫妻を亡くし、妹の夫はいまだに発見されていない。

生島は「今日は我々にとって特別な日。うちの妹の夫も、まだ発見されていないけれど、遺族にとってはつらいでしょう。その一方で、おしゃれな街並みも再建されてきた。被災地の現状を全国のみなさんに伝えて、防災の面でも参考にしてほしい」と話した。

「風化させない!東日本大震災」をテーマに元気仙沼市総務部危機管理監兼危機管理課長・佐藤健一氏(66)らをメインゲストに迎えた。気仙沼出身のシンガー・ソングライター熊谷育美(34)や仙台出身の出版プロデューサー残間里江子氏(69)も電話で登場して“復興の歩みを止めてはならない”というメッセージを発信した。

番組の最後にリスナーの励ましや今を強く生きているメッセージを読み上げた生島は、涙ぐみ言葉に詰まる場面もあった。「なんか、思い出しちゃった。いや~、ちょっと私は失格ですね。ボロボロですね…。今日はありがとうございます。これからも頑張っていきます」と感極まったが、最後は「ハブ・ア・ナイスデイ・アンド・グッド・ラック!」と決めた。

復興する故郷での生放送を終えた生島は「今日は放送開始の朝5時の時点で気温が12度あり、気仙沼らしい気持ちの良い天気でした。あらためて希望が持てる感じ。道路や橋が整備され、新しい商業施設もできてきています。世界に開かれた港町として、生まれ変わってほしいです」と話した。

その後は、この日夜に東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂で無観客で開催される「震災復興支援朗読会」の司会を務めるために、500キロ離れた東京へと戻った。