「白いブランコ」でデビューして52年目を迎えた兄弟デュオ、ビリー・バンバンの弟の菅原進(72)が、ニコニコ動画で若者たちの間で話題を呼んでいる。きっかけは今年1月、育成アニメゲーム「アイドルマスター」のキャラクター小早川紗枝が歌うソロ曲「薄紅」を、菅原の声を合成して歌ったものがアップされたこと。菅原のマネジャーが見つけて、ツイッターで「公式巡回済み」とツイートしたことで、ビリー・バンバンを知らない若者たちが注目した。

「本人は歌わないのか」という声が殺到して、菅原が知子夫人に採譜を依頼、そのピアノ伴奏だけで「薄紅」をしっとりと歌い上げニコニコ動画にアップした。「白い-」以外にも「さよならをするために」「また君に恋してる」、そしてソロで「琥珀色の日々」などヒット曲を持つ菅原だが、若者たちに驚きを持って迎えられ「スゲー」や「歌うまい」などの賛辞が殺到。ネットニュースにも取り上げられた。

菅原は「アップテンポの曲ばかりの中で、僕だけがピアノだけの演奏で歌ったから新鮮に聞こえたんでしょう。ゆっくりと歌うのを聞いて『薄紅』がいい曲だと分かってくれた。若い人たちはすごいなと思う」と話している。

キャリア50年以上のレジェンドだが、音楽に対する探求心は尽きない。昨年12月にYouTube、今年1月にニコニコ動画で自身のチャンネルを開設した。「曲を録音してアップするのにスタジオを用意する必要がない。指向性の強いマイクを用意すれば、いい音をとれる。すごく簡単」と笑う。自身の過去のヒット曲を順次アップ、新しい曲もネットで反応を確かめていく予定だ。

菅原が歌に目覚めたのは、幼稚園の時。ボーイソプラノで一世を風靡(ふうび)したウィーン少年合唱団に憧れた。中学からギターを弾き始めて、ニール・セダカ、ポール・アンカ、エルビス・プレスリーを聞いた。

「父親の知人の紹介で『涙くんさよなら』『バラが咲いた』などで知られる、作曲家の浜口庫之助先生のレッスンを受けていました」。

青学大在学中に、友人と4人組のビリー・バンバンを結成。途中、せんだみつお(72)が加入するなどメンバーチェンジがあって、兄の孝との兄弟デュオで69年にデビュー。「せんだはコンガをたたいていたんだけど『白い-』のイメージに合わないって外れたんだ(笑い)。でも、その後にタレントで売れたからよかったね」。

熱狂のグループサウンズブームの後に、慶大出身の孝と品のいいカレッジフォークの旗手として人気を集めた。「グループサウンズの人たちは先輩だけど、年齢的には少し年下。四谷のマンションに住んでいた時に、上の階に住むスパイダースの井上堯之さんから呼ばれて飲みに行ったら、ジュリー(タイガース沢田研二)とショーケン(テンプターズ萩原健一)がいた。かっこよかったなぁ」と振り返った。

◆菅原進(すがわら・すすむ)1947年(昭22)9月21日、東京・国立市生まれ。66年青学大在学中に友人と4人組のビリー・バンバン結成。69年に兄・孝との兄弟デュオで「白いブランコ」でデビュー。72年「さよならをするために」でNHK「紅白歌合戦」出場。76年解散。81年ソロで「琥珀色の日々」がヒット。84年再結成。07年「また君に恋してる」発売。