TOHOシネマズは12日、新型コロナウイルスの感染拡大で政府が緊急事態宣言を発令した翌日の4月8日から休業した全国の劇場のうち、13の特定警戒都道府県から離れた、青森県から鹿児島県までの8県10館の営業を15日から再開すると発表した。今後、さらに全国で15館前後、他のシネコンチェーンも再開へ動いていることが分かった。

複数の関係者によると、同社は一部自治体が映画館に対する休業要請を解除したことを受け、15日以降も山梨県、特定警戒都道府県に指定された石川県の隣の富山県、福岡県の隣の大分県などで劇場再開に向け調整中だという。シネマサンシャインも9館の再開を発表。ユナイテッド・シネマや松竹系のMOVIXも、それぞれ10館弱の再開に向け動いているという。

ただ新作の公開延期が相次ぎ、新海誠監督の「君の名は。」など上映作は過去作となる。1席ずつ間隔を空けて座席指定券を販売するなど感染予防措置は徹底するが、関係者は「客足はすぐには戻らないのでは」と厳しい見通しを示した。

配給も難しい判断を迫られている。公開延期で待機作だらけの中、首都圏近くの劇場が再開すれば「客足が戻らなくても、他との公開時期の競合を避けるため公開を判断するかも知れない」と語る関係者もいる。同関係者は「これ以上、自粛が続けばみんなつぶれる」と、業界としてギリギリのタイミングでの劇場再開を強調した。