全国の映画館で上映前に流れる、映画の盗撮などを防止するCM「NO MORE 映画泥棒」の新作が、14年10月以来約6年ぶりに制作された。17日公開の映画「今日から俺は!! 劇場版」(福田雄一監督)から順次、映画館で上映される。

シリーズ5作目となる新CMは、カメラ男が罪滅ぼしのために獄中で始めた映画業界を盛り上げるためのツイッターなどの功績が認められ、早期釈放されたものの、映画愛が強すぎるあまり、またも映画館で盗撮しようとして、パトランプ男に発見される物語。服役中にひそかに鍛えた身のこなしで、映画館から初めて外に飛び出して逃走したカメラ男と、永遠のライバルのパトランプ男によるバトルが、ONE MORE!? とばかりに再燃する。

カメラ男は「今回こそは! と、トレーニングにトレーニングを重ねた私の身のこなしにご期待ください!」と意気込む。一方、パトランプ男も「何度も捕まっている、懲りないカメラ男の事は全てお見通しです。映画泥棒は絶対に逃がしません!」と全く譲らない。

今回も、2007年(平19)6月から上映のシリーズ1作目から手掛ける「映画刀剣乱舞」の耶雲哉治監督が演出。観客に楽しんでもらいながら、盗撮=犯罪ということを強く認知、認識してもらうため、流れるカメラワークで、カメラ男の屋外でのハリウッド映画さながらのキレキレのアクションを、今までに見たことのないスケールとスピード感で描いた。撮影は2日間にわたって横浜方面で行い、アクションシーンが多いため、撮影前に十分なトレーニング、リハーサル、安全対策を行ったという。

また、「カメラ男」の後ろ姿(His back)も、ダンス姿以外では今回初登場し、前作に続き「ポップコーン男」と「ジュース男」も一瞬、出演した。

著作権のある映画の録画・録音を、著作権者の許諾を得ないで行うことは著作権侵害となるが、同法第30条第1項には、私的使用目的による複製は著作権者の許諾を得ることなく行うことができるという例外規定(権利制限規定)が設けられた。そのため、映画館の従業員が映画を盗撮している人を発見し、やめさせようとした場合、本当の目的が海賊版DVDの作成だったとしても、映画盗撮者が私的使用目的の複製であると主張した時は、直ちに著作権の侵害と認めることが困難で効果的な対処ができないことがあった。

さらに、ビデオカメラが高性能化する中、映画の盗撮に基づく海賊版の流通を防止するため、私的使用目的であったとしても、映画館における映画の盗撮それ自体が違法であると規定する「映画盗撮防止法」が、2007年8月30日から施行された。同法を国民に広く周知する必要があり、「映画館に行こう!」実行委員会は「NO MORE 映画泥棒」CMを作成し、同法の施行2カ月前の6月30日から、基本的に公開するすべての映画の巻頭で告知上映している。