嵐が12月31日、生配信ライブ「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」を東京ドームで開催し、惜しまれつつも活動休止に入った。デビューから21年間走り続けた国民的アイドルグループが“日曜日”を迎えた。休止期間は少なくとも数年単位になるとみられる。一方で今夏、延期となった東京五輪で、限定的にメンバー5人が再集結する可能性が浮上していることが分かった。

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意外だった。12月、嵐の5人が日刊スポーツなどの取材に応じた際、「今後嵐を超えるグループは出て来ますでしょうか」と聞いた。まず二宮和也が「いや~、出てこないでしょ」と返し、メンバーからツッコまれて笑いを誘った。さらにリーダー大野智が「いや、実際、ホント、現れないと思います」と真顔でかぶせて、さらに大きな笑いを巻き起こした。

当然リップサービスのジョークなのだが、それでもやはり意外だった。嵐のメンバーは、基本的に謙虚で控えめな性格だからだ。自分から積極的に前に出るメンバーも少なく、いわゆるセンターが決まっていない。一方で「全員がセンターに立てる」とも言われる。

「嵐がここまで人気者になったのは、前に出すぎないメンバーが集まった人間性も一因なのでは」と話すテレビ局関係者もいる。譲り合いの精神を持ち、メンバーがそれぞれお互いのことを尊敬している。ある意味、とても日本らしい、奥ゆかしいグループだ。

19年1月の活動休止発表から2年間で特に印象的だったのは、活動休止を切り出した大野を、他の4人が支えたり守ったりするシーンだ。当然、休止を悲しむファンや関係者も多い中で、「リーダー1人を悪者にはしない」という強い意志を感じた。

19年8月、メインパーソナリティーを務めた日本テレビ「24時間テレビ42」で、相葉雅紀がメンバーたちに「近い将来、絶対にグループ活動しようね」と伝えた場面があった。放送終了後、相葉の言葉を受けた思いを4人に聞いた。だが、回答者が大野に回る前に、別の話題に移ってしまった。親しい関係者は「大野君が答えにくいだろうと気遣って、あえて回さないようにしたのだと思います。長年のあうんの呼吸があるからこそできるチームワークでしょう」と推測した。

常に「僕は何もしてないですから」と謙遜し、メンバーからツッコまれては場を盛り上げるリーダー。デビューから21年間を駆け抜け、活動休止発表からの2年間も経て、ファンや関係者だけでなく、メンバーへの感謝をかみしめているのだろう。「嵐を超えるグループは現れない」。単なるリップサービスではなく、やはり大野の本心なのかもしれない。【横山慧】