市川海老蔵(43)が、主演するフジテレビ系「十三代目市川團十郎白猿襲名記念ドラマ特別企画『桶狭間~織田信長 覇王の誕生~』」(3月26日午後9時)で、長男堀越勸玄君(7)、長女市川ぼたん(9)と共演することが分かった。子供2人の映像出演は初となる。

海老蔵が織田信長、勸玄君が信長の少年期・吉法師、ぼたんが信長の正室・濃姫の少女期・帰蝶を演じる。今川義元の大軍を数的にはるかに劣る織田軍が打ち破り、日本史上最大の逆転劇とうたわれ、織田信長を一躍戦国時代の主役に押し上げた伝説の一戦、桶狭間の戦いを題材とする。

勸玄君が演じる吉法師は、北村一輝演じる父・信秀と尾張国・萬松寺で対峙(たいじ)するシーンに登場。信秀はこの翌日に三河に出兵することになっており、その前に吉法師に、織田家の嫡男として、そして武士の心構えを諭す。

ぼたんが演じる帰蝶は、マムシと呼ばれ、周囲に恐れられた美濃の国主・斎藤道三の娘。隣国・尾張の織田家との政略結婚で、信長の元に嫁ぐことになる。佐藤浩市演じる道三との美濃・稲庭山城でのシーンに登場。女子と生まれたが故の宿命について、道三が語る。

2人の出演に関して海老蔵は「今回の出演は自分たちに決めさせました。プロデューサーの方にどうするか聞かれて、自分たちで『やります』と伝えに行ったので、僕は受け入れただけです」。撮影は、海老蔵が見守る中で行われた。ぼたんの出演シーンでは、何度かセリフの読み合わせのリハーサルを行い、アドバイスをする姿も見られた。撮影後には「ちょっとアドバイスしたら、すごく良くなった」と笑顔を見せた。勸玄君のシーンでは「モニターを通すとぐっと良くなる」と話した。

他に今川義元を三上博史、信長の正室・濃姫を広瀬すず、堀田道空を竹中直人、木下藤吉郎(豊臣秀吉)を中尾明慶、柴田勝家を松田龍平、信長の生母・土田御前を黒木瞳が演じる。

昨夏の放送を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、海老蔵の市川團十郎白猿襲名披露公演が延期になったため放送も延期されていた。襲名披露公演の予定はまだ決まっていないが、公演に先立って放送することが決定された。

フジテレビ第一制作室の高井一郎プロデューサーは「撮影はもう1年前のことで、勸玄くん、ぼたんちゃんとも、まだまだ表情に幼さが残る頃でしたが、役衣装となって現場に入った時には立派な役者で、監督の指示や海老蔵さんのアドバイスを真剣に聞き、実践していく姿はすでにプロフェッショナルでした。心に残るとてもいいシーンになったと思います。どちらの現場も海老蔵さんの出番はなかったのですが、撮影を見守る海老蔵さんは、時に父として、また厳しい師匠として、くるくると表情の変わるのがとても印象的でした」と話している。

物語は1560年(永禄3)の清洲城。27歳の織田信長(海老蔵)が「敦盛」を舞っている。同じ時、今川軍の先陣・松平元康(徳川家康)は織田軍のとりでの前で、その采配を振る時を待っていた。駿河の総大将・今川義元(三上博史)が織田家の領地・尾張に2万の大軍をもって進攻してきたのだ。

前夜、今川軍に対し籠城策を訴える家老衆をあしらった信長は、翌早朝にたった5人の小姓を従えて清洲城から姿を消した。恐れをなして逃げたのだという生母・土田御前(黒木)に対して、濃姫(広瀬)は決して逃げたりはしないと言い切り信長の身を案じる。

信長は木下藤吉郎(中尾)など信用できる者たちを動かし今川軍の情報を集め、義元が大高城に向かうのではなく、織田信長軍と戦う構えで桶狭間にいることを突き止めた。やがて、織田軍本陣に家老衆が軍勢とともに到着したが、その数は2000人ほどで、今川軍との差は圧倒的だった。