東京オリンピック(五輪)・パラリンピック公式文化プログラム「まぜこぜアイランドツアー」(8月22日午後4時配信予定)の制作体制トップに就任して話題の女優東ちづる(60)が17日、意気込みを語るとともに、先月3日に胃がんの手術を受けていたことを告白した。

昨年11月末に「胃が痛いのと、立っていられないくらいの貧血」になり病院で診察を受けたところ、胃から出血していることが分かり、そのまま緊急入院した。その時は「胃潰瘍」として出血を止めて退院したが、翌12月、詳しく調べていた主治医から連絡があり、早期の胃がんと分かった。2月2日に入院し、翌3日に内視鏡でがんを切除。同13日に退院した。

東は「先生よく見つけてくれましたと。早期だから内視鏡で切除して。手術室ではなく、胃カメラの部屋だったんですよ。早期発見だとこんな感じなんだって、びっくりです」。

退院から3日後にはリモート講演会で仕事復帰し、今月は女優業も再開した。そもそも、大会組織委からの就任依頼を引き受けた昨年12月の時点で「飲んでる場合じゃない」と禁酒しており、「ライフスタイルは健康的」と笑顔。「8月22日に無事配信したら、作品にかかわってくれたみんなと乾杯したい」と話す。

制作する「まぜこぜアイランドツアー」は、人種、性別、障がいの有無などさまざまな個性が交じり合う多様性の魅力が詰まった映像プログラム。「JALさんが冠スポンサーなので、ツアーにしたいなと思って。ドラァグクイーンのCAさんが、車いすのパフォーマーさんがいる島や、平原綾香さんが歌ってくれる島などを案内してくれる仕組み。島をめぐりながらさまざまな個性の人に出会うという意味では『ワンピース』みたいな感じで、楽しいものにしたい」という。

骨髄バンクをきっかけにボランティア活動を始めて29年になる。障がい者アートや男女共同参画など、一貫して「誰も排除しない、されない社会」を目指して活動してきた。10年前の東日本大震災で「マイノリティーの人たちが追い詰められてしまう現実」を目の当たりにし、12年に一般社団法人「Get in touch」を設立。障害や生きづらさを抱えた人の創作活動、表現活動を支援している。

オリンピックに関しては、開催か中止かも含め不確定な状態。今回の大役には「1カ月悩んだ」というが、「世界配信なので、マイノリティー表現者がたくさんいることを知ってもらうチャンスになる」。また、「たくさんの人に興味を持ってもらうには、お得感やわくわく感がないと。そのためにエンタメの力は大きい」と意気込んでいる。

◆東ちづる 1960年(昭35)6月5日、広島県生まれ。短大卒業後、会社員を経て85年に芸能界入り。「金子信雄の楽しい夕食」(テレビ朝日)で茶の間の人気者に。女優業のほか、報道番組でも活躍。17年にまぜこぜ一座を旗揚げし、舞台「月夜のからくりハウス」(22日、渋谷区文化総合センター大和田)では、座長として脚本、演出を務めている。