東京五輪を目指し、日本にルーツを持つ空手女子米国代表のサクラ・コクマイ(28)が、米カリフォルニア州オレンジ郡の公園でトレーニング中に人種差別的な嫌がらせを受ける様子を撮影した動画をSNSに投稿した。

日本人の両親を持つハワイ生まれのコクマイは、五輪に向けて公園で日課とする朝のトレーニング中に近寄ってきた白人男性から「俺の後ろで話すな。なぜ俺の車を見てるんだ」と叫ばれる動画を投稿し、「見知らぬ人に理由もなく叫ばれたり、脅されたりしたことは恐ろしいことですが、周りで一部始終を目撃していた人たちが何もしなかったこととどちらが最悪か分かりません。これは誰にでも起こりえること」と長文のコメントを添えている。

地元テレビ局の取材に応じたコクマイは、男性から「出ていけ。ルーザー。国に帰れ」などの言葉も浴びせられたことを明かし、「とても怖かった。ビデオでは私がちょっと笑っているように見えると思うが、その瞬間、本当に何をすべきか分からなかった。その時は状況をのみ込もうとして、事態をエスカレートしないよう笑い飛ばした」と恐怖を振り返った。男性は最後に車で走り去る際には「中国人」「サムライ」など人種差別的な暴言も吐いたといい、「そのことに関しては今でもまだ少し感情的になる」と語っている。コクマイは、「普段はインスタグラムにはポジティブなことしか投稿しないが、この問題はお互いを守るためにも公表すべきだと思った」と投稿理由を語っている。

昨年3月に新型コロナウイルス感染拡大が始まって以降、米国ではアジア系住民に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)が急増し、最近になってアジア系の五輪代表選手たちも次々と差別やヘイトを受けていることを告白している。先日は、平昌五輪で金メダルを獲得したスノーボード女子米代表のクロエ・キムが、毎日のように人種差別的メッセージを受け取っているとSNSに投稿。また、体操男子代表の韓国生まれのユル・モルダウアーも米代表チームのメディアイベントでアジア系差別を受けたことを告白し、「自分の知名度を生かして、米国内におけるアジア系に対するヘイトの関心を集めたい」と語っている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)