小説「オルタネート」で第42回吉川英治文学新人賞を受賞したNEWS加藤シゲアキ(33)が9日、都内で行われた「令和2年度・3年度 吉川英治賞贈呈式」に出席した。

加藤にとって初の文学賞となった。執筆を始めた2年前は受賞を想像だにしておらず、「期待していなかった分、今ここに立てていることが夢のよう」。12年のデビュー作「ピンクとグレー」を書き始めてから10年、「ここまで続けてこられた自分をほめてあげたい」と喜んだ。

現在、舞台「モダンボーイズ」に出演中で、昼公演後に駆けつけた。作家として小説を書き、役者として演じる日々を過ごす。物語には“力”があるといい「救いかもしれないし、喜びかもしれない。一口に言えるものではないけれど、物語の力に一度触れた人は、知っているからこそ求めるんだろうな」と語った。

「書きたい」というエネルギーの一方、著名作家に交じって自分が書く意味を模索し続けた。今回の受賞で「『加藤シゲアキ、作家やってもいいんだよ』と慰めていただいた感覚があるし、活のようなものをいただいた」とし「ここからも頑張って書き続けたいし、僕にとっての心強い味方になった」と感謝を述べた。

村山由佳氏、今村翔吾氏、呉勝浩氏、武田綾乃氏も出席した。

◆「オルタネート」 高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須になった世界の青春群像劇。料理部部長の蓉(いるる)、オルタネートを信奉する凪津(なづ)、高校を中退した尚志(なおし)の3人を中心に、若者の苦悩や恋愛、成長を描く。